Aブロックが終わってから
Aブロックが終わって、今日はこの後なにもないので、観客たちは帰っていった。俺たちもそれに続いて帰っていたんだが、コロシアムから出たところで1人目の奴がいた。
「なんで、私は勝たなくちゃいけなかったのに…。」
そんなことが聞こえたんだが、俺には関係ないのでそのまま帰った。
「Aブロックの試合、凄かったわね。」
「ああ。あの勝ち残った奴が群を抜いていたな。」
「そうね。あなたはBブロックだから明日じゃないの?」
「そうだな。」
今後のイベントの予定は明日に残りの4ブロックをして、明後日に決勝をやるらしい。俺たちは明日にそれぞれ試合があるということだな。
「あなたは負けないでしょうけど、私はちょっと不安かな。」
「大丈夫。レフィーは自分が思ってるよりも強いんだから。」
「ふふ、そうね。」
俺たちは昼食を食べてまた特訓をしていた。正直この世界ではあまりすることもないので、だらだらするか、こういう暇潰しをするしかないのだ。
「絶対に明日は勝ちたいわ。」
「何で?負けたくはないけどそこまで勝ちたい理由とかあるの?」
「え、そ、その、負けず嫌いなのよ、私。そうなの。」
めっちゃごまかしてるけど何か勝ちたい理由でもあるんだろうな。
そのまま夕食の時間まで特訓をして、このままこの日は何もなく終わった。俺はあまり眠たくなかったので、寝てるレフィーを起こさないように俺は外に出て、散歩でもしようと思ったんだが、
「やめてください!」
「今日も負けてたねーちゃんだな?案内所戦い方でよく残れたもんだ。いつまで出るつもりなんだか。」
「くっ!」
男たちが1人目に絡んでいた。はぁ。何でこの国の男たちはみんなこうなのかな。そんなに人に絡みたいのかね。俺は目障りだったので少し黙らそうと思い、
「おい!こんな夜遅くにやかましい奴はどこのどいつだー!」
と、その男たちに詰め寄った。顔は見られないようにフードを被って。暇だったのでこんな風に絡んでみたんだが、
「なんだこいつ?おい、適当にボコっとけ。」
「分かりました。おい!お前!何なんだよ?」
俺に話しかけてきた奴を無視して、1人目に絡んでる奴の所に俺は一直線に向かった。
「お前。イベントには出てるのか?」
「あ?誰が出るかよ、あんなの。」
「つまり、ビビってるわけだ。イベントに出てもないのに数人で絡むとか、お前ホントにクズだな。」
「お前には関係のないことだ。それにこいつのことよく知らないだろ?」
「そうだけど。なんかあるのか?」
俺がそう言うと、男たちは笑いだした。
「悪い。知らないなら教えてやるよ。こいつはなここ数年の大会には必ず出てる奴なんだよ。そして、万年勝ち残れない。なぜ出るのか分からないが、こいつは出続けるんだよ。」
「それが何なんだよ。別にこいつの勝手じゃん。」
「けどな、こいつは人を傷つけない戦い方をする。それはこのイベントじゃ、タブーみたいなもんだ。観客はな、いかに参加者が傷つけ合うかを見てるんだよ。強い奴は魔王軍と戦って勝ってくれると期待してな。」
要するに観客たちはこのイベントで勝つ奴を魔王軍に対する戦力だと思ってるわけだ。
「でも、こいつに負ける奴もいるんだろ?なら、そいつはこいつより弱い奴ってことだから別にいいんだろ?」
「試合では、な。そういう奴は大抵終わった後にこいつに絡む。俺はそういう奴の変わりを請け負う仕事をしてるのさ。」
「ふーん、大体分かった。けど、目障りだからお前らは俺が倒してやるよ。」
まず、目の前でやられることが気に食わない。
「まあいい。ここまで言ってまだそいつを庇うなら俺たちも容赦はしない。こっちは仕事なんでね。」
そう言って俺の周りを囲んでいた。そして、合図をリーダー格の男が出して、俺を倒しに来る。俺は面倒なので一気に全員を殴った。こいつらには認知できないスピードだと思うので何が起こったか分からなかっただろうな。
結局すぐに全員倒れた。全然戦いって感じじゃなかったので、終わってもスッキリはしなかったけど。
「おい、お前。俺は行くから次は気を付けろよ。」
俺はもう寝ようと思い宿に帰ろうとしたんだが、
「ま、待ってください!」
そして、俺の服をそいつは掴んできた。