イベント開始
次の日、俺たちは開会式に出るために朝食を食べてすぐ、コロシアムに向かった。昨日までもそうだったんだが、当日になると国の雰囲気はイベント一色に染まっていて、出店なども出ていた。
「いやー、祭りみたいだなぁ。行ったことあまりないけど。」
「こういうの祭りって言うのね。覚えておくわ。」
「いや、みたいってだけな。」
俺たちもその雰囲気を味わっていた。コロシアムに着いたら、入り口のところで名前を言って、番号の付いているゼッケンを受け取った。俺は482番でレフィーは483番だった。
そして、コロシアムの中に入ったんだが、中には人が溢れるぐらいいて、これ全員が参加者だから規模の大きさが一目で分かった。巨人や空を飛んでいる奴。ドラゴンっぽい見た目の奴や獣人もいるみたいだ。
道を通ってきて思ったんだが、巨人の奴も広々と通れるほど道が大きくてコロシアムでも人は多いが狭いと思うことはなかった。
中に入って分かったんだが、俺が今いるこの場所が戦う場所で、真ん中に円形の立てる場所がある。ここが戦う場所なんだろう。で、その周りには少し地面が張られている。で、そのさらに周りには壁と出入口があり、それを隔てて客席が段々に上に繋がっているような場所になっていた。
「レフィー、はぐれると面倒だから手でも繋いでおくか?」
「え?ああ、あなたがどうしても、って言うなら。」
「じゃあ、どうしても。」
「な、なら、しょうがないわね。はい。」
レフィーは手を出してきたので俺はそれを握った。それから少したってから、声が響いた。
「では、参加者の方も大体揃った頃だと思いますので、開会式を始めたいと思います!司会は私、コニーで送りたいと思います!」
そうすると、ワーワーとか観客の声援と参加者たちの雄叫びで、この場が満たされていた。司会者は客席の最上段の特別な場所から話していて、俺たちからも見えるようになっていた。派手な服を着たおっさんだった。声の響き方からして、魔法でも使ってるんだろう。
「さらに!今年は魔王に対抗するために召喚された「ディセカ」と「アンカサス」の勇者も参加してるぞ!」
そうすると、さらに声援は大きくなり、勇者の人気が窺えた。勇者らしき人が観客に手を振っているのも見える。アイドルにでもなってるつもりなんだろうな。
「では、ルールの説明をしたいと思います!まず参加者の皆様が立っているその場がステージになり、皆様にはそこで戦ってもらいます!負けになる条件はステージの外、地面に落ちた場合です!地面に落ちた場合、負けになりますのでもうステージに上がることはできません!不正が発覚した場合はコロシアムの職員がすぐさま討伐に向かいますので、変な気は起こすなよ!」
そうして、司会者がいる場所に4人の人が出てきた。すると、また声援がなり一種の名物になってるみたいだった。参加者を討伐なんて言うぐらいだから、相当強いんだろうな。
「勝ちは最後の1人になる。ただそれだけだ!」
この人、熱くなると話し方も熱くなるな。最初は敬語だったのに荒々しい感じになってるしな。
「各ブロックごとの突破者を集めて決勝をやるからな!今回のイベントでは、5つのブロックがあるから5人で決勝をやるぞ!」
目立つなぁ。まぁ、ここぐらいには行きたいな。
「これがルールだ!それ以外は何をしてもいいぞ!人と組むもよし、武器を使うもよし、魔法も何でもありだ!」
ふーん、なかなかいいルールじゃん。変にルールがあるよりもこっちの方が盛り上がるんだろうな。
「優勝商品はこれだ!」
司会者はそう言って、1つの剣を掲げた。その剣は剣というより刀って言った方が良いのかもしれないようなものだった。少し反っていて、見たことあるような日本刀のようなものだった。
「これは昔、伝説の冒険者ショータ・イトーが使ったとされる剣だ!名はマサムネだ!」
絶対日本人だ!俺ら以外にもこの世界に来た日本人がいたのかよ!しかもマサムネってホントにあるやつなんじゃないか?詳しくないから分からないけど。ただ、あれは欲しいかもしれん。
「これは魔法剣で特殊な効果が宿っているらしい。主人だと認めると真の力を発揮するらしい。ショータ・イトーは認める一歩手前までしか行ってないらしいが伝説に残るほどの強さだったらしい!なら、使いこなすとどうなるのか!?私には想像もできません!」
また敬語に戻った。興奮しすぎて逆に戻ったぞ。でも、あの刀欲しいな。これは頑張るしかないな。
「優勝者にはこの剣が!決勝出場者にはこのイベントの後に開かれるパーティーで城に招待されるぞ!」
イベントの後にはパーティーも開かれるのか。楽しい国じゃないか。
「開会式はこれぐらいで、そろそろ戦いの開幕だ!参加者は一回外に出てもらう!出るときに職員から何ブロックか言われるから忘れるんじゃないぞ!今日はAブロックだからな。Aブロックの奴は、30分後までにここに集合だ!もちろん参加者も試合を見ることはできるぞ!幸いこのコロシアムの観客席はバカみたいに人が入るからな!」
やっぱりこのコロシアムは大きいんだな。門から見えるぐらいだしな。
その後参加者の奴らは外に出始めたので俺たちも付いていった。出るときに番号でどのブロックか言われるらしく俺たちも並んでいた。この参加者たちは気が立っている人もいるけど、やはり勝ちたいためか争いが起こることはなく、試合に集中しているようだった。
「482番はBブロックで、483番はDブロックです。」
俺がBブロックでレフィーがDブロックだった。俺たちは今日じゃないので試合を見るためにコロシアムの観客席に行った。観客席から見るステージはやはり大きかった。野球場のグラウンド位あるかもしれない。
Aブロックの出場者がぞろぞろと入ってきた。発表してすぐに試合だったのですぐに集まったんだろう。合計で100人以上はいたので、各ブロックごとに100人以上はいるんだろう。それにしても勇者はどれだ?いるのかいないのか分からんわ。
始まる前は観客含めコロシアム全体が水をうったようにしんとなった。30分たったので司会が号令をかけた。
「Aブロックの試合、始め!」
試合が始まった。