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「最強」スキルは俺専用です!  作者: うきを
三章 魔王を助けに「魔王城」と「ゼフィラ」
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魔王救出

俺はその泣き声が聞こえた方へ歩いていった。次第に大きくなっていき、一番奥の牢に囚われていた。俺は、偽装を解いて話しかけた。


「お前が魔王か?」


魔王の見た目は他の魔族とは違い、肌の色は人間に近かった。さらに、翼は生えていなければ人間として生活していけそうだった。これも孤立の原因かもな。ここまで人間に近い魔族は軍にいなかったからな。けど、顔は暗く絶望しているようだった。笑えば可愛いと思うんだけど負のオーラが強い。


「あなた誰?何でここに人間がいるの?」

「俺はみなと。で、お前は魔王なのか?」

「そうよ、名前だけのね。」


そう言う彼女は感情のこもってない顔だった。こんな状況になったらそうなるか。


「えーっと、俺はお前を助けに来たから、もう安心していいぞ。」

「無理よ。ここから出れてもすぐに兵士に捕まるわ。私のことはいいからあなたは行きなさい。」

「泣いてたのに?助けてほしいなら、そう言えよ。本当に行っちゃうよ?それに、出てからは俺が守るからな。お前に危害は加えさせない。お前が自分の意思でここにいたいんなら、それでいいんだけど。」


俺が笑いながらそう言うと、魔王は、


「いやよ!私はここから出たい!お願い!私をここから出して!」


と、初めて感情がこもった声を出した。


「分かった。任せとけ!」


俺はまず牢の鉄格子を力任せに曲げて人が通れるぐらいの穴を開けた。それから手に付けられていた手錠を外した。鍵穴があったのでそれに合うように人差し指を鍵に変えたらできた。偽装ってこんなこともできるとは、便利だな。


「うわっ、お前ちょっと汚いぞ。洗浄!」

「ちょっ、女の子に何てこと言うのよ!ずっとここに捕まえられていたんだから当然でしょ!」


魔王は顔を真っ赤にして怒っていた。俺は笑いながら、


「あはは、ごめんごめん、ちょっとだけ冗談だよ。」

「ちょっと、って何よ!出たら覚えときなさい!絶対に許さないから!」

「声がでかいよ。もうちょっと静かにできないの?」

「誰のせいよ!」


出るとなったらやっぱり、透明になる、だよね。これ意外と楽しい。人間が歩いていても気付かないし、足かけたら盛大に転ぶし。これは、関係ないか。


「じゃ、今からお前に偽装かけるから音出すなよ。」

「分かったわ!あなたって何者なのよ。ほんとに。」

「出たら教えるよ。多分。」

「絶対に教えなさい!」


俺たちは透明になって歩き出した。でも、


「少し待ってくれない?私疲れてて、そんなに速く動けないの。」

「そうだな。じゃあこれで行こう。」


そう言って、俺は魔王をお姫様だっこした。魔王って姫でもあるだろ?位では。なら、本物のお姫様だっこをしたいという俺の願望だ。


「ちょ、ちょっと、あなた大胆すぎよ!でも、まあ、許してあげなくもないけど…。」

「はいはい、ありがたき幸せ。」


地下牢から出た俺たちはまず城の外に出ようと思ったけど、このまま帰るのもなぁ。一応多少は被害与えておくか。


俺たちはセルギスがいた部屋の前に来ている。俺はこの扉を50%ぐらいの力で蹴った。本気でやると魔王城どころかその城下町も被害がありそうだったからな。関係ない人を巻き込むのは俺のポリシーに反するからな。すると、ドオン!という音と共に、扉が壊れた。その音を聴いて集まってきた兵士たちが騒いでいる中で、部屋の中にいたセルギスは破片が頭に当たって血を流していた。


「なんだこれは!何が起こっているのだ!」

「分かりません!いきなり扉が壊れました!原因不明です!」

「犯人を探せ!」


めっちゃ騒ぎになってるやん。これに便乗俺たちはその間に城から出て城下町を走り、少し離れた森の中に来た。


「あー、スッキリした。見たか?あいつの顔。めっちゃビビってたぞ。」

「そうね!あんな奴あれぐらいじゃまだ足りないわ!」


俺たちは一頻り笑いあった。でも、急に魔王が泣き出して、


「…本当に、私を助けてくれてありがとう。」

「おい、泣くなよ。あの強気な態度はどうしたんだよ。」

「ううん。あんな態度命の恩人には失礼だったわね。ごめんなさい。」

「はぁ?あんなん当然だろ。第一俺が気に入らないからやっただけだ。気にすんな。」

「それでも!あなたが私を助けてくれたことには変わりないわ!だから!」


うーん、地下牢にいたときの方が楽だったんだけどな。どうしよう。


「堅苦しいからやめてくれ。それに、素で話してくれた方が俺も楽だからさ。」

「でも、私偉そうだから、あなたに失礼な態度をとるかもしれないし。」

「いや、それでいい。むしろ、それがいい。俺は素のお前といたいからさ。」

「そうなの?なら、そうするわ。」


やっと、笑ってくれたか。その方が魅力的だ。


「おう、で、この後どうするんだ?」

「え!?私を連れていってくれないの?」

「いや、それでもいいけど、お前やっと自由になれたんだぞ?行きたい所があるなら、連れていってやるけど。」

「ないわ!あなたに着いていってもいいわよ!」

「ほんとにないの?俺に気を使わずに言っていいんだぞ?」

「何?私に着いてきてほしくないの?この可愛い私が着いていってあげるって言ってんの。感謝しなさい!」

「はいはい、分かった。じゃあ魔王、行けるか?ここだとあまりゆっくりできないから、移動したいんだけど。」

「その魔王って言うのやめなさい!私にはレフィーという名前があるの。そう呼びなさい!」

「はいはい。レフィー。」

「よろしくね!みなと!」


俺たちは握手をして仲間になった。けど、


「でも、私のことを汚いって言ったことは許さないわ!」


そう言って、握手した手におもいっきり電気を流してきた。


「あはは、痺れなさい!」

「え?何か流れて来てるのは分かるけど、全然痺れるとかはないわ。」

「え!?結構強めにやったのに。私の雷属性魔法のレベルは7なのよ!?どんな体してんのよ!」


そう言って、俺の体を殴ってくるけど、全然痛くない。


「レフィー、全然痛くないよ。何かしてるの?ってレベルで。」

「ムキー!なら本気よ!くらいなさい。私の本気!」


レフィーは手に大きな電気の塊を作り出し、それを変形させて剣の形にして、俺に斬りかかってきた。俺はそれを手に掴もうとしたんだが、その瞬間、


「雷属性魔法レベル7を獲得しました。」


という、言葉が頭の中で流れていた。え!?俺魔法使えちゃうの?当然レフィーの攻撃ではダメージをくらわなくて、レフィーが落ち込んでいたけど、それ以上に俺は受かれた気分になっていた。








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