魔王城へ行く
魔王城に向かう俺は、まっすぐに向かっていた。食べ物はあり、洗浄で服なども洗えて、寝るときも襲ってくる奴は倒した。思ってたよりも早く進んで行き、2日が過ぎた。通る途中に国はいくつかあったが寄る理由もないのでスルーしてきた。けど、魔王城に近づいて行くごとに人の交通量は少なくなっていた。
そして、今見えているのがルアが言っていた魔王城に一番近い国「ルドキア」。見た感じ人がいないんだが。俺は「ルドキア」の門に歩いていったんだが、他の国とは違って門番がいなかった。いや、門番だけじゃない。中に入ってみて分かった。人が1人もいない。
「うーん、被害があるってのは聞いていたけどここまでとは思わなかったなぁ。」
つい、そんな独り言を言うぐらいには何もなかった。元々あったであろう店は見るも無惨に壊されていて、舗装されていたであろう道は所々陥没していた。
「魔王軍ってのは思ったよりも残酷なのか?ここまでする必要もない気がするんだけどな。」
まあ、もう今さらどうすることもできないしな。それに、死体が転がっているわけではないから、人は移動したんだろう。
「ルドキア」から出た俺はまた魔王城へ向かっていた。そこから走って2時間ぐらいした頃、前に森が見えてきた。見渡す限り木が生えていたのでそこで人間側と魔族側に分けられているような気がした。
「この森を抜けた先が魔王城だな。」
俺は中に入ろうとした。そのとき、
「ガルルルッ!ガァ!」
と、急に大きい犬みたいな、何か獰猛そうなモンスターが襲ってきた。牙も爪も軽く人なんて引き裂けそうなぐらい大きいもので、それを威嚇のためか見せつけてきている。多分番犬のような扱いだろう。森に入った瞬間に襲ってきたからな。
「うわー、でかいな。こんなんが襲ってきたら国1つ普通に滅ぶだろうな。」
そう言ったものの、俺は全然緊張感を持っていなかった。それを舐めていると思ったのだろうそのモンスターは右足を上げて、俺に向かって振り下ろしてきた。俺は動かずにその場でそれを見ていた。
ドスンッ!大きな音がなった。モンスターはこう思っただろう。「なんて人間は弱い生き物だろう。」、と。
「あー、何するんだよ。埃被っちゃうだろ。躾がなってないんだよ。飼い主は誰だよ、まったく。」
当然俺はその程度では傷も付けられないので、そのまま右足を受け止めていた。そして、それを掴んで背負い投げのように前に投げた、軽めで。あ、手加減するの忘れてた。てか、本気で何かするの初めてだからどうなるのかわからないや。
投げられたそのモンスターは、木をへし折る勢いで飛んでいき、多分200mぐらいで止まった。その犬が通った後の道は何か粉々だし、最初の方なんて、通った風で木が根から抜けてるし、ヤバい。俺はモンスターのところまで行ったが、当然意識はなかったが、まだ死んではなかった。まあ、投げただけだしな。
「うわぁ、これで人殴ったらヤバいな。絶対死んじゃうよ。もうずっと手加減のスキル10%にしとこ。でも、体力と防御力は手加減の影響入らないみたいだな。個別に決めれるみたいだから、俊敏力もそのままにしておくか。」
むしろ、何で今までしてなかったんだよ、俺。でも、ある程度は分かったな。本気は出したらあかんわ。だいぶ手を抜いたんだけどな。気絶させるレベルでやったのにあんなことになるなんて。
「まあ、目的は魔王だし早く行くか。」
でも、どっちに進むかどうか分からないな。ここは原始的に空から見るか。
「よいしょ!結構跳べたわ。って、あれが魔王城か。高い建物だな。」
跳んで見渡すと、奥の方に城があった。見るからに禍々しい雰囲気の城で確信をもってあれが魔王城だと分かるレベルだった。今回も思ったよりも跳べてので、自分の身体能力をもっと分かっておかないとな。
とりあえず見えるところまで、行くかと思って、走り出した。ここまで2日間走って来たけど、疲れを感じたことがなかった。そのまま走ってきて城も見え始めた頃に、城下町というか、大きな町みたいな物が見えてきた。そこで自分の姿を見たときにすぐに人間だと分かり、どう見ても怪しいので自分の姿を偽装しておくべきだと思い偽装した。
魔族の特徴で、ほとんどの人が黒っぽい皮膚の色で翼が生えていたり、角が生えていたりしていた。その他にも腕が四本ある人、四足歩行の人、人の形で獣のような見た目の人など色んな種類の物がいて、面白かった。俺はその中でもスタンダードな翼と角が生えている魔族になって、町を歩いていた。
町の様子は人間の国と変わりはなく、日常を過ごしていた。種類が違っても仲良く話していたり、遊んでいる様子を見て魔族も人間もそんなに変わらないんだなと思った。
俺が用があるのは魔王なので、さっさと行こうと思ったのだが、魔王城はでかくてどこにいるのか分からないので中に入ろうと思ったんだが、門番はちゃんといるし、簡単には入れなさそうだった。どうしよう。あ、そうだ、偽装って透明にもなれるんじゃね?そう思って人目の付かない所に行って試してみると、できた。ちゃんと透けているようで音さえ出さなかったら、絶対にばれないと思うぐらいだ。
俺は城の門を正面から進んでいったが、全然気付かれる様子はなく入ることができた。中に入ると、魔王軍用の制服なのか、黒い軍服を着ている人が多かった。門番は着ていたな。まあ、着ていない人も手に持っていたり、腰に巻いていたりと必ず身に付けてはいるようだった。軍は統率されているんだな。
俺は歩き回っていたら、今までにはなかった大きな扉があった。城で大きな扉といえば王族がいそうなんだが魔王ではないよな。となると、セルギスって奴か?そう思い待っていると、中に入る人がいたので、俺も着いていくと、
「セルギス様!あの小娘はまだ反抗的な態度をとっています!どうしますか?」
「そうか。まだ殺すなよ。あいつの素質は高いから魔王軍で利用できるかもしれんからな。」
あいつがセルギスか。何かあまりぱっとしないな。角は曲がってるし翼は小さい。軍服も着ているがかっこよくはない。さすがに「ディセカ」の王よりはましだが、見た目は弱そうだけどな。何より背が低い。
でも、魔王はまだ生きてるみたいだし早く探さないとな。俺はその兵士が出るタイミングで一緒に出た。どこにいるか分からないけど、捕まってるなら地下か一番上か。ここは三階か。何階が1番上か分からないし下行くか。一階に降りた俺は地下へ行く階段を探していたら、端の端に階段があった。そこは城の中なのに人が通らず、まるで避けているみたいな場所だった。俺は降りると、地下牢だった。でも、人はいなかったので進んでいくと、泣いている声が聞こえた。
ぐすん、と。