予感 2
熱風と共に、火が、炎が、熱い煙が、辺りを焼きつくしていく。
「おい!大丈夫か!!」
「1人意識不明だ!」
「こっちは骨折してる!」
「救助が来るまで耐えろっ!!!」
………
地雷の埋まっているらしい場所まで行くと、MOVEの中でもとくに鼻の効く数人が、慎重に地面を掘り返しはじめた。
「あった。」
地雷は埋まっていた。
一通り取り終えると、近くに住んでいる国民に被害がないことを確認し、一同は引き返した。
そのとき、
突然辺りに白煙が立ち込め、そして、
「うわぁぁぁ!」
何者かが集団で襲ってきた。
助けを呼ぶ声が響く。
セアは身をかがめ、何とか意識を冷静に保とうと目を閉じた。
聞こえてくる。敵の声…
「…あいつらは皆殺しだ。手加減するな。」
…ウソだろ!?
聞こえてきたのは信じられないような敵軍隊の指令だった。
今まで戦ってきた相手はどこも本気で殺そうとはしてこなかった。“殺しはしない”それが両者の暗黙の了解だったのだ。
だがこの敵は、MOVEを殺そうとしている。
見ると肌が粟立っていた。
怖い。
落ち着け落ち着け落ち着け!!
今みんなを救えるのは俺だ。
自分は敵から見えない位置にいるはず。
大丈夫。大丈夫だから落ち着け。
もう一度深呼吸。
声が聞こえた。
「飛ばすぞ!」
飛ばす?何を?
その途端、熱風と爆音に吹き飛ばされた。
一瞬時間が止まったような気がした。が、すぐに地面に叩きつけられる。
「う、うぅ」
バラバラと上から尖った破片が落ちてくる。
頭が割れるように痛い。
耳鳴りがした。
敵は飛ばしたのだろう、爆弾を。
人ごと吹き飛ばすなんて正気の沙汰じゃない。
なんとか上に乗っている重い破片をのけようとしたが、脚が挟まっていて動けなかった。起き上がることさえできない。
何も見えない。真っ暗だ。
なにか無いかと手を伸ばす。すると、何かに触れた。これは…
「ティム!」
MOVEの中で1番嗅覚が鋭いティムは、地雷を見つけるために一緒に来ていた。
ティムがいつも身に付けているブレスレットに触れた瞬間、セアは背筋が凍るのを感じた。
爆発に巻き込まれたに違いない。でなければこのブレスレットが落ちているなんてありえない。
だがセアも、かなりの重症だった。
そう、後ろの気配に気づかないほどに。
ゴンッ
後頭部を殴られ、その場に倒れる。
殴った敵はセアを抱え上げると、茂みの中に戻っていった。