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MOVE  作者: 三浦知斗瀬
2/11

戦いの風 2

風が吹いていた。

仲間と共に走る。

風はMOVEの味方だ。


前を進んでいた仲間が左右に分かれて進み始めた。

そっと列を抜けると、伝達部隊と共に岩陰に隠れる。

荒くなった息を整えると、目を閉じた。

腹式呼吸に集中する。


「ふぅー」


何度目かに息を吐いたとき、頭の中に声が聞こえてきた。


『右の部隊の人数を増やせ。』


『左から攻めるぞ』


セアは瞬時に味方の伝達部隊に小声で伝えた。


「右に人数増やせ!左から来る!」



セアの能力、それは盗聴だ。

無意識的に必要な情報を選んで引き抜く。

透視とよく似た能力で、頭の中に直接声が聞こえるため、相手とどれだけ離れていようが関係ない。

だが相手が能力を防ぐ「何か」をしていれば話は別だ。

大抵の組織では、盗聴及び透視を防ぐために何かしらの策を練っている。


数で勝てると思っているのか、何の策もなしに飛びかかってくるところもあるが。


「セア!そっちに行ったぞ!」


はっとふり向くと、鎧を着た敵がニヤリと笑って立っていた。

腰の短剣を引き抜く。

そろりそろりと後ろに下がった。


「怖いのか?」


敵のその言葉を合図に、セアは舞うように切りかかった。

右に跳ぶ。かと思えば次は左。

相手を殺したくはない。同じ人間なのだ。


短剣の柄で首筋をゴツンと打った。

あっけなく倒れる敵。


しばらくすると伝達部隊の一人が戻ってきた。


「セア!大丈夫か?」


「大丈夫。そっちは?」


「うまく追い返せたよ。一旦戻ろう。」


どうやら相手は退散したらしい。いつものことだがほっとした。



仲間はみんな無事だった。ケガも酷くはなく、歩いて“家”に戻れるほどの軽傷だ。


早く戻らねば。マーファイらが待っている。



………


セアは走っていた。

視界が低い。夢…か?

森の中を、何かに付いていくように走っていた。だが前に何がいるのかはわからない。

緑の香りが鼻につく。土から出た新芽を蹴って走る。走る。走る。


途端に開けた場所に出た。

広場?手入れがされている。周りには民家。

ここはどこだろう。


誰かが名前を読んでいた。


『セア!セア!』


誰?

振り向くとそこには…




はっと目が覚めた。

やはり夢だったのだ。でも最後の人物は見られなかった。

ん?…人物?あれは人だったのか?


起き上がるとかすかに首が痛んだ。寝違えたらしい。これではうまく戦えないではないか。


よくわからない夢のせいで朝だというのにイライラする。


今日はいつもより少し早く、下の階へ降りた。

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