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不良少年の恋  作者: 東京 澪音
2/6

2話

親戚宅に帰ると、制服からYシャツとスラックスに着替えお店に顔を出す。

夕方って事もあり、今は少し空いているが、ケーキ持ち帰りのお客様が数名いた。


叔母さんと交代すると、僕は持ち帰りのお客さんの接客をする。


お客さんの注文通りにケーキを箱に入れレジを打つ。

ここ一年でだいぶ鍛えられたから、多少お店が混雑していても落ち着いて仕事を捌くことが出来る。


接客が一息ついたら僕は洗い物に取り掛かる。

午後は周辺の方々がお茶をしに寄ってくれるので、結構忙しいらしい。


考えてみれば朝から夜までだもんな。

長女に至っては朝4時頃からケーキを焼き始めたりしているから、本当に大変なんだと思う。


叔母さんも、朝早く起きて僕らの朝ごはんとお弁当を作って、夕方は僕と交代したら夕飯の支度だもんな。


働くって大変な事だよね。


忙しいっていい事だけど、叔母さん達の身体が心配だ。

色々と弄られる事もあるけど、なんだかんだで皆いい人たちだ。



そんな事を考えていると、叔母さんが戻ってきた。


「洗い物ありがとうね。あなたも大分この仕事に慣れてきたみたいで、、叔母さん助かるわ。ねぇ、将来はこのお店継がない?交換条件として、姉妹の中から好きな子をお嫁にあげちゃうから!どう?」


相変わらず凄い事を言い出すな~おばさん。

娘の確認もとってないし。


「あ、いえ、僕まだ中学生ですし。それに僕なんかではつり合いがとれませんから(汗)」


冗談だとはわかっているが必死だった。


「駄目よ母さん。だってこの子亜子の事昔から大好きじゃない。って言うかアンタ今日も亜子のトコ行ってたでしょ?」


ドキッとして振り返ると、いつの間にか次女が帰って来ていた。


「あら、そう言えばそうだったわね!昔から亜子ちゃんにべったりだったものね!残念だわ。でもね、もしも亜子ちゃんに振られちゃったらその時また考えてね!叔母さん待ってるから!」


さすが叔母さんだ。

縁起でもない事をサラッと言ってのける。


「って言うかなんで僕が亜子さんを好きって事になってるのさ!?」

僕は小学生みたいなセリフを吐く。


そんな僕を見て、次女はため息を一ついた。


「じゃあ、亜子の事嫌いなんだ。あ~ぁ、この事亜子に話したら、ショックで泣いちゃうかもね。可哀想。」


次女は悪そうな顔をした。


「誰も亜子さんを嫌いなんて言ってないじゃないか!?亜子さんの体調が悪くなったら大変だから、余計な心配かけるような事は言うなよな!」


必死だった。

これ以上僕の心証が悪くなったら病室に顔を出すことも出来なくなる。


「冗談よ!って言うか、アンタが亜子の事好きなの、皆にバレバレよ?ご近所さんだったらみんな知ってるはずよ。」


・・・マジですか!?

僕は悟られない様に必死に隠してきたのに。

しかもご近所さんにまでバレてるって・・・。


急に恥ずかしくなった僕は、捨て台詞と共に長女のいる工房に引っ込んだ。


「バーカバーカ!お前の母ちゃん出ベソ!」


引っ込む時に叔母さんに捕まり、一発拳固を貰った。


工房で片づけや、明日の準備を手伝い終わると、僕はお風呂掃除を終え、湯船にお湯を張ってる間に叔母さんが作ってくれた夕飯を頂いた。


食器を洗い、お風呂に入ると僕は部屋に戻る。


明日は数学の宿題を提出しなければならない。いつもなら次女に泣きついて交換条件に酷い仕打ちをされるところだが、今日は亜子さんに教えてもらったから余裕である。


さっさと終わらせて早く寝よう!

そう思ってカバンから教科書を取り出そうとするとが、教科書がない。

カバンの中身をひっくり返してみたがやはりなかった。


これは多分間違いなく亜子さんの病室に置き忘れたな。

僕は机の上で充電中の携帯電話をとると、亜子さんにメールをしようとした。


あれ、メールが来てる。

亜子さんからだった。


件名: 忘れ物です。

今気が付いたんだけど、数学の教科書忘れてってます。

どうしよう!?明日数学の授業がない事を祈ります。

メールに気が付いたら連絡ください。 亜子


あ、やっぱり亜子さんのトコか。

取り敢えずメール返信をする。


件名: 数学の授業がない日とか・・・(笑)


そんなパラダイスな日なんてないし、現在大変困ってます。

これからこっそり取りに行っていい?


しばらく待つと返信が来た。


件名: えぇ!?

こっそり取りにって、大丈夫!?

お見舞いの時間終了してるから、見つかったら大変よ。

お姉さん、そういうのあまり感心しないな~。 亜子


さすが亜子さん真面目だ。

でも僕には奥の手があった。


僕はお店に戻ると、店じまいを始めている長女に声を掛けた。

「今日ってケーキ何か余ってる?」


そう尋ねると、長女はお皿に余ったケーキを乗せて、僕に差し出す。

「食べてもいいわよ。」


僕はそれをこっそりと箱に詰め替え、部屋に戻る。

部屋に戻るとそれらを写真に撮り、メールに添付する。


件名: 残念です。

亜子さんが大好きなチーズケーキとモンブランをついでに差し入れようかと

思いましたが、亜子さんがそう言うなら今日はやめときます。


追伸、ケーキは僕が責任もって美味しく頂きます。


っと、これでOK。

待つ事30秒、返信が来た。


お、さすが亜子さん!ケーキの事になるとレスポンスが早い!


件名: 暗いから

気をつけて来てください。

特にケーキは落とさない様に死守してね。亜子


よし、釣れた!

亜子さんのメールに返事を打ち、叔母さん達には本屋に行くと嘘をつき僕は着替えて家を出た。


玄関わきに止めてある自転車に跨ると、僕は夜風を切り街を走り抜けていく。

私立病院に着いたのは、20時少し前だった。



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