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不良少年の恋  作者: 東京 澪音
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1話

父が海外に転勤となった。


母はそれについて行く事となった。

僕もそれについて行くとばかり思っていた。


が、僕だけ拒否されてしまった。


何故か?


それは僕が悲しいに位勉強が出来ないからだ。

平たく言ってしまうとバカって事になる。


その辺は自覚があるから全然気にしてないけど、拒否されるとは思っていなかったので、いささかショックだった。せめて行くか行かないか位は嘘でも聞いて欲しかった。


父曰く、意味不明な若者用語ばかり話し、まともな日本語も話せない奴が海外に馴染めるはずがない!

ましてやそんなお前に英語なんてとても覚えられないだろ。よってお前を親せき宅に預ける。しっかり勉強して、立派な若者に成長してくれ。


そう言い残して海外に転勤したのが1年前。

そんな父の願いも空しく、僕は世間で言う不良少年の道をまっしぐらに進んでいた。


預けられた親せき宅っていっても、家の近所で、別に転校する事もない。

ただ住む場所が自宅から7軒先になっただけで、これといった環境変化はない。


誣いて言うならば、親せき宅には男がいない。

叔母さん・長女・次女・三女の四人構成である。


叔母さんは自宅兼お店である、喫茶店 ”Meu amor e”を営んでおり、話好きが高じてお店は主婦層を中心にソコソコ賑わっている。

内緒だがかなりのミーハーで、お店の名前は若い頃ファンだった中森明菜の曲名からとったみたいだ。

今でもカラオケに行くと中森明菜中心の選曲となっているらしい。


長女はこの喫茶店でパティシエとしてケーキなどの洋菓子を作っている。また、見た目だけで言うならば、結構綺麗な顔立ちをしている為、近所のおじさんから思春期の若者まで長女のファンは多く、毎日買いに来る男たちが後を絶たない。表の顔はとても素敵なお姉さんといった感じで、僕も親せきじゃなければ毎日このお店に通っていたかもしれない。けど裏の顔は180度違う。基本的に僕は長女の使いッパにされており、お使いからお店の仕込みの手伝いまで、毎日こき使われている。


次女は現在高校2年生で、将来は姉同様パティシエを目指す為に日々勉強中だが、ここだけの話決しておいしいとは言えない。正直に言うならばマズい。普通に作れば全然良いのだが、どうも料理中に色々アレンジを加えたくなるらしい。そんなこんなでこの世のモノとは思えない味を作り出す天才として家では崇められている。ちなみに次女の作るお菓子を毎度無理やり残さず毒見させられるのが僕の役目である。


三女は僕の1つ下で中学一年生。

学校での僕の悪行などを皆に報告するチクり役。本人曰く広報担当と言ってほしいとの事。


こんな感じの親せき宅にて生活を送っている。


ハーレムじゃん!とか思う人もいるかもしれない。

声を大にして言いますが、全くもってそんな事はないんです!


むしろ先に述べたように、奴隷の如く使われる日々である。

親せき宅に来て一つだけ勉強になった事がある。それは物事には表と裏があるという事だ。


僕が住んでいる所は少し特殊で、三つの学区からなる。

家の前の道を挟んだ向こう側は1中の学区で、東に50メートル進むと2中の学区、そして僕の通う北中と、複雑な感じになっている。


また学区なんて関係なく、昔から遊んでいる友達ばかりなので、友人には恵まれていた。

でもその殆どが年上で不良のお兄さんばかり。


僕はその中でも唯一の最年少な為、結構可愛がられていた。

一説によると長女の親戚って事で可愛がられていると言う噂もある。


不良のお兄さんて言っても、特に悪い事をする訳じゃないんだ。

万引きもしなければお金を巻き上げたりもしない。だれかれ構わず喧嘩したりしないし、いじめもしない。


皆でつるんでバイクでツーリングに出かけたり、夜誰かの家に集合してゲームをやったりと、日々そんな感じだ。


そんな僕らも世間から言わせれば、ひと括りに不良と言う扱いになるらしい。

本当の不良から言わせれば、僕らみたいな中途半端な奴らは不良の部類には入らないらしい。


そんな立ち位置の僕ら。

それでも僕らは毎日を楽しんでいた。


僕の日課は他にもある。

昔から僕の事をとても可愛がってくれるお姉さんの所に顔を出すことだ。


お姉さんは身体が少し弱くって、今は近所の私立病院に入院していた。

僕は学校が終わると毎日病室に顔を出し、日々の出来事を話して聞かせた。


病室からあまり外に出られないお姉さんは、いつも僕の話をニコニコ笑いながら聞いてくれる。

とても親戚姉妹と同じ女性とは思えない位優しい。


また、次女とは同い年で親友の為、次女もここにはよく顔を出す。時々ここでバッタリ!という事もあり、僕の普段の悪行は全て筒抜けとなっている。


「ねぇ、先週のマークテスト2点だったって本当?せっかく教えてあげたのに、お姉さんちょっと悲しい。」


次女だな。

早速バレてるし。

僕は慌てて言い訳をする。


「違うんだよ!ちゃんと答えはわかってたんだ。だけど、マークシートが全部一つづづズレてて、それに気が付いたのがテスト終了間際で、直す事も出来ずに終了。僕は後日先生に呼び出され、事実を説明するも理解してもらえず、罰として廊下拭き50往復と補修になったんだ。全く、もう少し僕の話を信じてもらいたいもんだよ。」


そんな僕を横目にクスクスと笑う。

お姉さんの笑い顔はとても可愛い。僕は少しドキドキしていた。


「あら、廊下拭き50往復と補修の話は初耳よ。(笑)」


藪蛇だった。


くそ~次女の奴、おかげで恥ずかしい話を自ら暴露しちゃったじゃないか!


「君は頭の回転が早いんだから、真面目にやれば周りの見る目も変わるわ。ほら、Tシャツは中に入れる。それだけでも見た目が大きく変わるものよ。」


僕はお姉さんにだけは色んな意味で頭が上がらない。

小さい時から両親よりも可愛がってくれてた気がする。


僕はTシャツをズボンの中にしまうと、パイプ椅子に腰かけた。


「さ、教科書出して!次は補修にならない様にしなくちゃね~♪」

そう言うと僕のカバンから数学の教科書を出すとペラペラと捲りだす。


「えー!また勉強するの!?」

お姉さんは復習するページを定めたらしい。


「ほら、姿勢を前かがみに傾けてないでシャキッとする!っという事で傾きついでに、一次関数の勉強をします!」


そう言うと丁寧に一次関数の解き方を教えてくれた。

一時間ほど勉強をすると、ご褒美にリンゴをウサギに剥いてくれ僕に出してくれる。


僕はそれをおいしく頂くと、この後の奴隷生活に備え、渋々病室を出る事にする。

お店の手伝いをしないと夕飯が出てこないからである。


背に腹は代えられない。


僕はお姉さんに別れを告げると病室を出た。

病院の入口でふとお姉さんの病室を振り返ってみると、小さく手を振り見送ってくれるお姉さんの姿が見えた。


僕はもう一度大きく手を振ると、走ってお店に向かった。



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