この世界は不思議
こんにちわ
この世界に生まれて早17年。
最初はこの世界に対して困惑や、動揺など様々な感情があった。すでに懐かしくも思う。
最初に意識がはっきりしたのはご飯を食べている時に下を思いっきり噛んだ時だ。
突然の痛みに苦しみ、気がつけば知らない人と朝ごはんらしきメニューを食べていた。自分の声があまりにもでかかったのか、両親は自分のことを心配そうに見つめている。
動揺のせいでしっかりとした対応はできなかったけれども、心配ないよ!と大声を出してしまったのは流石に申し訳ないと思う。
咄嗟に頭に浮かんできた自分に残ってるなんていうのか、前世?その記憶を思い出してみると年齢はそこまで変わらなかった?そういう印象があるが何か大事なことを忘れている気がする。それが何なのか。いまはそれしか思い浮かばない。もう一つ言えることはこんな体験を何度かしている感じがする。
両親の心配を気にしながら、カッターシャツを着ている自分は隣に置いていた学生カバンと学ランぽい上着を手に持ち、足早に玄関に向かい
「いってきます!」
と、制服を羽織ながら出て行く。
まず、必要なのは自分の情報。そして学校。とりあえず近くにあった公園に行きベンチに座る。学生カバンを漁ればなにか情報が出てくるのではないかと淡い期待を胸に財布を取り出してみる。
免許証は持ってない。まぁ学生だからないほうが自然。財布の中にはどこかのポイントカードとお金が3千円くらい。小銭少々。
次に生徒手帳。名前は坂本大地。闘聖青州学園2年。名前と学校名がわかったのは大きい。変な学校名だなとは思う。前世の名前が何だったのか思い出せないけど。この名前にはしっくり来ている。よくある中二病みたいな名前じゃなくてよかったと喜ぶべきなのか。身長は180センチを少し超えてるくらい。母親より高く。父親よりは低かった写真が玄関にあったからちらっと見てそう判断してるだけであって、実際の身長が・・・いやまぁこの話はいいか。
さて次に出てきたものは、よくわからないタブレット端末。ス○ホでもなければiPh○neでもない。でも連絡先だったり何かのアプリだったり、よくわからないものがたくさん並んでいる。
とりあえず、そのうちの一つのニュースアプリを開いてみる。
内閣は予算案を・・・
あの有名人がついに結婚・・・
またもやあの芸人が・・・
隣国との武道大会まであと1ヶ月・・・
いやはや、どんな世界かと思ったけど。前世もこんな感じの世界だったかな?となんとなく思える。でも気になるニュースがあった。
「隣国との武道大会・・・?」
はて、前世ではこんなイベントなかった記憶がある。隣国とはあまり中の良くなかったイメージはあるが、武道大会どころか下手をすればドンパチと血なまぐさい争いが起きる危険性はあったが、仲良く武道でもして親睦を深めましょうなんてイベントはなかった気がする。
「武道大会ということは、もしかして自分は武道家なのでは?」
そう思ってくるとそんな気になってきた。自分の体を確認して見る。腹筋は普通。腕の筋肉は普通。足の筋肉も普通。ジャンプしてみても普通のジャンプ力。近場に落ちていた空き缶を握り潰そうとしてもアルミ缶だからよくわからない。他になにか確認する項目はないかなと考えてみるも、何も思い浮かばない。
とりあえず学校に向かおう。でも学校の場所を知らない。アプリの地図を開いて学校を検索してみる。徒歩3時間くらいと表示される。近場に駅っぽいものもあるし、バス停っぽいものもある。そういえば財布に定期みたいなのがあったので確認してみると電車の定期のようだ。
「まぁ駅まで行ってみるか」
ベンチから重い腰を上げ、駅に向かい歩き出す。最初は学校に行こうか迷ったがサボるのはよくないと、行くことにしたけど無事に過ごせるのかそこが心配だ。
歩くこと数十分。ようやく駅についた。向かう道中。学生に社会人。ストリートファイターっぽい人、刀を腰にぶら下げた侍っぽい人。明らかに魔法使いますよ!という魔術師っぽい人。二刀流やら弓持ち。なんだか怖い人しかいない。こんな連中が電車に乗ろうとしてる違和感がすごい。それに比べて俺の普通さがやばい。ハイタッチされたら腕持っていかれるんじゃないかと思うレベルだ。
とりあえず定期に書いてる駅で降りればあとはどうにかなるだろう。そう思い改札を抜け電車が来るのを待つ。
やっときた電車は俺の知ってる電車じゃなかった。明らかに浮いていて中が広い。見た目はモノレールなのに。
「この世界はどういう世界なんだよ・・・」
よくわからないまま、自分はこの世界でやっていけるのか不安に押しつぶされそうになった。
頑張って続けます