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事の成り行き
──彼女、瑞稀が岡中と会う、2時間前の話
「で、マスター。今日はどんな人をスカウトさせてくれるの?」
瑞稀は皮肉ったらしくそう言った。
マスターと呼ばれた男はそれを気にするそぶりを見せず、口を開く。
「どんな人もこんな人もない奴さ。人生を失った奴のような容姿さ。」
「は?具体的には?」
「髪はボサボサ。唇は青く、肌はコモドドラゴンのようだ。目は気持ち悪く、顔色も悪い。そのくせいい能力だ。是非欲しい。」
瑞稀は情報を頭にインプットしておいた。
瑞稀は、どんな能力かは分かる癖に、誰か分からないと能力も不明という、欠点のある能力を持っている。
だから、瑞稀にとって情報は、組織の中で一番大切なものなのである。
情報を整理しながら荷物を準備していたので、体感時間的にそこまで時間は経っていないと思っていたが、十分経過していた。
まだ時間には余裕があるものの、瑞稀は瑞稀は足を外への踏み出した。
あぁ、何故世界はこんなにも穏やかに時間を過ごすのだろう。
そんなことを考えながら、彼女は歩き始めた。