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能力者との出会い

 彼、岡中聡はいつも一人だった。

 目までかかる髪、髪の下から見える鋭い目、限りなく黒に近い色のクマ、呪詛を呟くかのような小さな声、その他諸々の理由で、皆自分から離れているのだと、聡は自覚していた。

そんな高二ある日、聡の在籍しているクラスに、転校生が来た。

まるでアニメやライトノベルのようだな、と聡は思った。

教師の「入ってこい」という言葉に促されるように、彼女は入ってきた。

「滝野瑞稀です。皆さんと仲良くなれるように励みますので、よろしくおねがいします!」

彼女は屈託のない笑顔で、そう言った。

クラスの大半の人間が、可愛い、こんな子がこの世にいるんだ、付き合いたい、などと考えるだろう。

だが、聡は違った。聡の考えていたこと。

彼女はどんな仮面を被っているのだろう

ということだった。

聡には、人には言えない妙技があった。

人が仮面を被っているか否かを見分ける、というものだ。

なぜだかはわからない。ただ出来てしまうのだ。

脳が直感的に仮面をかぶっているのだと告げる。

ただこの能力の不便なところは、どんな仮面を被っているかがわからないことだ。

別に知って面白がりたいというわけではない。

ただ本能的に真実がしいたいだけだ。

そんなことを考えていると、教師は耳を疑うようなことを言った。

「席は岡中の隣が空いてるから、そこに行ってくれ」と。

聡は思考回路が停止しかけた。

なぜ自分の隣なのかと。

こんな気味の悪い奴の隣なのかと。

考えてもみればそうだ。

唯一隣が空いているのは自分なのだ。


そんなことを考えていると、彼女が隣に座った。

そして口が開かれる。無難に『よろしくね』などの言葉がくると聡は考えた。

しかし、彼女が発した言葉は世界がひっくり返るかと思うくらいのものだった。

「あなた、仮面被ってること分かるでしょ。」

教師は勿論、親にすら言ったことがなかったのに、彼女はズバリと言い当てた。

聡は動揺を隠しながら「どういうこと?」と聞いた。

「そのままの意味だよ。ねぇ、仮面を被っているかそうでないか以上のことはなんか分かるの?」

と、瑞稀は当たり前のように聞いてきた。

聡の頭は混乱した。彼女は一体何者なのだと。

クラスメートの前以外の顔は一体なんなのかと。

その意思を汲み取るかのように、彼女は

「私ね、分かるんだよ。その人がどんな''能力''を持っているか。」

「なっ…!」

聡は絶句した。

常人にはそんなことはできないはずだ。

あくまで常人の話だが。

そんな気持ちを悟ったかのように彼女はさも自分が当たり前かのような態度をとりながら、聡に教えた。

「この世にはね、たくさんの人がいるの。何か一つのことに特化している人。全体的に出来てしまう人。そんな中に、私たち能力者が産まれたの。能力者と言っても多種多様だよ。例えば、人の時を止めたりね。」

そういえば、この教室はやけに静かだった。

そして見回すと、衝撃の光景が眼前に広がっていた。

皆が皆、動いていないのだ。

彼女の方に向き直ると、彼女はクスクスと笑っていた。

「何がおかしい?」

「いや、君を見てると笑えてくるんだよ。何も知らない無邪気な子供が、突然1人にされて絶望しているような顔だからさ。」

最低な奴だ、そう思った。

そんな気持ちを胸の奥に潜め、彼女に質問する。

「何故時は止まっている?能力者であると何があるんだ?この世に起こっていることを説明してくれ。」

そう言うと、彼女は驚いた顔をした。

「君、以外と話せるんだね。ただのコミュ症だと思ったよ。」

なかなか癪に障る

そんなことを思っている聡を横目に、彼女は話を始める。

「まず一つ、近いうちに、この世は破滅する。恐らく、タイムリミットまで一年もないだろうね。」

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