愛から始まり輪で終わる
愛してるって言ったのは彼。
いつまでも一緒にいたいと言ったのも彼。
ウソではなかったんだよね、少なくともその時は。
永遠に続く愛、なんてもともと信じちゃいなかったけどさ、流石にちょっとつらい。
想うだけで十分だから、なんて思っちゃえる今の私、自分に酔ってるかな。
過去は変わらないし、変えられない。
今日だって後になってから、変えたい、と思うような行動をするつもりはない。
クリスマスを前にしての大決心だ、悔いはない……はず。
けど、明日になったらやっぱり悔やむんだろうな。
こんな気持ちになるくらいなら、やらなければよかったって。
「さようなら」
仕方がないの、そんな顔しないでよ。
すごく、すごく好きだったよ。
世界で一番だったんだよ。
そんなことを最後に言うのは卑怯だったかな。
「たんま、ちょっと待てよ、いきなり」
違う、そういう言葉を期待しているわけじゃない。
つまらない言葉で誤魔化せるなら、こんなことにはなっていない。
「ていうか、二股かけてたんでしょ。知らないとでも思ってたの」
問いただすまでもなく、彼は認めた。
なんで、と理由を聞きたかったけど、聞いてしまえば何かが壊れそうな気がした。
似合わないことしてるよ、私。
「沼田さんだよね、相手」
ねぇ、彼女は私より優しくしてくれたの?
のんびり屋さんの方が一緒にいて楽しかった?
吐き出した息は白く、雪の混じりだした風に乗ってゆっくり広がっていった。
否定もしない謝ることもしない彼に、別れよう、と念を押すように言うと、静かにうなずいた。
「二人で仲良く、幸せにね」
変な顔しているかもしれない。
本当、可愛い女になりたいなら、泣いてすがるくらいしてみせれば良いのにさ。
――まるで私みたい。
見渡すばかり白で埋め尽くされた公園は、いずれは解けて消えさる空虚な思いを代弁していてくれた。
昔はここでよく遊んでいたものだ。
目一杯走り回って、夏はラジオ体操に参加して、冬には雪だるまをつくって。
もうそんな頃の純粋な気持ちなんてほとんど残っちゃいない。
やっぱり、二股くらい目をつぶってた方が良かったのかもしれない。
許されないことをしたのはあっちなのに、なんで私が身を引いたんだろう。
よせば良いのに、一度考えてしまうと次から次へと想いが溢れてくる。
楽になれると思ったんだけどな。
亮輔だけが楽になれたんだよね、結局は。
ループしつづける思考は泥沼に変化していくと理解はしている……忘れよう。
連絡手段は廃棄済み、学校ですれ違うのは仕方ないとして、後戻りできないようできる限り接点はなくしておいた。
ろくでもないやつなんだから――でも嫌いにはなれなかった。
私は、すべてに納得して行動したはずだったのに、また悔やんでいる。




