有馬福祉と福祉公社
「有馬福祉と福祉公社は違う会社だと云いたいのか?」「そうだ」有馬は目を伏せながら云った。「佐久間は俺が社長だと思ったんだろ?半分正解だ」「半分…」「そう、半分」
ミクが部屋に入ってきた。「草太さん、お電話です」ミクは電話を持って部屋に入った。
「…今度は何の用だ」ため息混じりの声で電話の主に話した。「佐久間悪い。今日は…」「ああ、また聞きにくる」「佐久間さん、行きましょう」佐久間はミクと共に部屋を出た。
『仕事だよ、有馬草太くん』電話の相手は分かりきったことを云った。「そんな事分かってますよ有馬さん」有馬さんは笑い始めた。
「…有馬和義総理、仕事の話では無いんですか?」『君がフルネームで僕の事を呼ぶのは珍しいね、草太』「知るか…」電話を切りたいと思ったが、我慢し「用件を早く云え、バカ」
『お兄ちゃんとか云ってほしいな』
有馬和義と有馬草太は義理の兄弟である。
『用件は…あっ、そうだ。用件を云う前に、《素》が欲しいと思わないか?』…確かに今の福祉公社にいる《義》はミクとミライだけだ「《素》となる人間がいるのか?」『いる』総理は断言し電話を切った。
「…なんだったんだ?」有馬はため息を付き電話を戻しに部屋を出た。