第1話
相棒の名前は何にしよう。
「どうも、氷川圭一です。異世界です。」
『なにいってるのパパ』
「今、夢にまで見たドリームマシンに乗っています。」
『パパこのみちきらい』
「オフロードタイヤは、レベル上がるまでお預けだよ」
「しかし、しゃべりながらメール打つのは面倒だな」
そもそも、今の現場はというと、ゴールデンウィークに纏まった休みが取れたので家を整理していた。整理していたが、色々整理していたら懐かしいものが出てきた。
捨てたと思っていたものだったり、忘れてたものだったりと、いやはや、1日それで休みを使ってしまった。
そして、そんなことをしている時にこいつを見つけた。15年前まで続けていた小型の動力付き自動車模型。
埃が積っていたのでティッシュで取った。そして模型を見る。
年月が経ってもそのデザインはいい。この模型で実車化されたのはたった1台で公道では走れないが、心が震えた。
スマホの時代と言われているのでスマホで動かせるように改造とプログラミングに勤しんだ。
次いでにはっちゃけて、コミュニケーションツール、いわゆる美少女ゲームのキャラを参考にしていれた。
それが間違いだったのかどうかは知らない。後悔はしてないので問題ないが。
そんな感じで完成させてすぐに、メールが届いた。どうも、この模型からメールが届いたらしい。
メールが届く機能は入れていなかったはずだが……
返信する。まあ、ここはプログラマーの原点であの言葉を返す。
「Hello Wrold」
『おはようパパ』
「へ?」
どんなバグだが知らないが、メールでテンプレートな返事を返してくれるのでうれしかった。
ということで、外で走らせることにした。どう見積もっても体が模型のスピードについてこれないのでインラインスケートを買った。
足のサイズがギリギリ店頭に並んでて良かったが、結構高い買い物だった。
さあ、子供の頃に帰って走るぞ。
「そう言ったらすぐに車に轢かれたんだ」
死亡フラグを色々と考える。
連休に家の整理整頓をしようとする。
模型を見つける。
改造する。
バグ修正しない。
初めてのインラインスケート。
高速道路で走ろう。
……おそらく、最期の高速道路で走るのと、初めてのインラインスケートが直接の死亡の原因だと思う。