序章:1人ぼっちになった日
序章: 1人ぼっちになった日
それは雨の降る夏の日の事だった。
その日は、高校の補習があった。
その日の帰り道。
知らない電話番号から電話がかかって来て。
知らない人が、知らない声で私に言った。
“ご両親が先程、お亡くなりになりました”
その後の事はあまり覚えていない。
傘もそのまま置き去りにして、ひたすらに走った。
ビショビショに濡れながら、もう何が涙かも判らずに。
ただ嘘であってと願いながら。
8月28日、両親はこの世を去った。
私は男が嫌いだった。
1番の原因は小さい頃に近所のガキ大将に苛められていたからだと思う。
自分でも馬鹿らしい理由だとは思うが、された事がどうしても忘れられなくて男が大嫌いになったのだ。
まぁ、その男嫌いが原因でまさか学校で苛められるなんて、思ってなかったわけだが。
なぜか、男嫌いというだけで女子は近寄ってこなくなった。
仕方ないとは思うが。
私にはある悪癖がある。
それは、男が近寄るとつい悪態をついてしまう事。
これが原因で、男子も近寄って来なくなっていた。
おかげで、学校では1人ぼっち。
それでも。
家に帰れば家族がいた。
なのに、その両親が、もういない。
私は、本当に1人ぼっちになったのだ。
引き取ってくれる所もなくて。
そんな時、母の従兄妹という若い20歳ぐらいの男の人に孤児院を紹介してもらった。
その人が管理人をしている、孤児院には見えない孤児院。
“雪ノ塚荘”ーーーーー
それが孤児院の名前だった。
行く所もないし、私はそこにお世話になるこにした。
そして、高1の二学期から、私はそこで生活する事になったのだ。
序章:1人ぼっちになった日 終