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移動《意外な弱点》

完璧すぎる主人公は敬遠されやすい。そう思って以前から考えていたネタです。本編にかなり必要なものです。本格的に利用するのは大分先になりますが。

 実地訓練移動日。

 目的地は学園が所持している人工孤島・靭島うつぼしまであり、そこへ向かうために本土と島をつなぐ数少ない手段である大橋を現在大人数用車両が五台走っていた。

 一年生はクラス別であり、番号順に並んでいる。

 つまり、要たちが乗っている車両は前方から五番目。最後尾だった。

「え…えっと、なんだかアンジェが非常に場違いな雰囲気が漂っているように感じるのは気のせいでございましょうか…?」

「全員気を張りすぎているだけでしょう? 今からこの調子だと二日目には疲れきっているわよ」

「まぁ、移動の間位は気を緩めても問題ないだろうな……獅童、いい加減に機嫌を直せ、見ているこちらの気が重くなる」

「……何でクラス別なんだよ……班を纏めて人数調整すれば良いことだろうが……」

「………………」

「し、獅童君! 首藤さんと別れたことが辛いのは分かりますが、気を確かに!」

「月島、止めておけ。今の龍一には何を言っても聞こえないだろう……」

 アンジェの指摘するとおり、車内はこれから始まるであろう訓練のために生き込んでいるのだろう、ほぼ全員が黙り込んでいた。

そんな中で一部だけ明るい雰囲気を漂わせている。

 あまりに余裕を持っているため、周囲は恨みがましい視線を幾つか送っていたが、ほとんど誰も気にしていなかった。

「……そ、そういえば何故今回アンジェが呼ばれたのかが不思議で仕方ないのですが…ご存知の方はいらっしゃいますか?」

「ん? いや、俺はアンジェを呼んでくれと言われただけで詳しい話は聞いていないな」

「ようやく復活したか…私はそもそもアンジェが来ることすら知らなかったな」

「本当なら学園関係者以外は参加不可能だと言われていたが……だが、そこに本人がいるのなら直接聞いてみてはどうだ?」

 そう言いながら昴は少し離れた場所で一人座っている要を指差した。

 腕を組み、目を閉じて静かに黙り込んでいる。これが乗車してからずっとの状態なので、さすがに無視しきれなくなったようだった。

「あ~……いや、直接聞くというなら今は止めておいたほうが賢明だと……」

「……そうだな。今ここで悲劇を起こすわけにもいかないからな……」

 だが、何故か龍一と椛は否定的な立場であり、そっとしておくという選択肢を選んだ。

「? 折角なので聞いてみましょうよ。五十嵐君、少しよろしいでしょう……」

「……うっ……!」

 心が話しかけるとほぼ同時に、要は手で口元を抑えた。

 突如顔から血の気が引き、息が荒々しくなり始めた。

「月島先輩何をやっているのですか!」

「え! えぇぇ!?」

「要は乗り物にとんでもなく弱いんです! だからほかのことに集中させて気を紛らわせていたんですが……あぁぁ、アンジェ! 今すぐバケツのようなものを用意できるか!?」

「こ、こちらに……!?」

「待て、真白。俺の鞄を持ってどうするつもりだ、それをバケツ代わりにするつもりか!? 要も釼甲の騎行は問題無いのに何故車が駄目なんだ!?」

「……恐らくは……うっぷ……慣れ……ではないか……と」

「あぁもう喋らなくていい! というより口を開くな、込み上げるものを押さえ込むことに集中しろ! あと十五分……それだけ我慢してくれ!」

 ……龍一の予想より更に五分。

 その間、いつものメンバーは予想外の問題への対処で非常に騒がしく、悲劇が起こさせまいと奮闘していた。


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