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神羅装甲 影継  作者: 桑名 啓之
雌雄決戦
116/117

後日談 其ノ一

 ……彼が目を覚ましたのは、外から聞こえる子供の声が耳に入ったからだった。射し込む日差しが眩しいと感じたのか、腕で顔を覆いながら何の気無しに部屋を見渡した。

「…………ん……?」

 しばらくの間は焦点が定まらなかったが、時間とともにぼやけた視界が元に戻り、自分が見慣れない場所にいることに気が付いた。

「……ここは……?」

 睡魔が容赦無く襲いかかっているのだが、それを必死に堪えながら自分のいる場所を見回した。部屋は道具や日除けを含んで全て白を基調としており、いかにも病室と言ったようすだった。自身が寝ていたのはいつもの布団ではなく、これまた白一色のベッドだった。

《よう、目が覚めたようだな、主》

 声のした方向に彼が顔を向ければ、己の釼甲である虎徹の自律形態・紅蓮の虎が部屋の隅で丸まりながら、欠伸をしていた。

「……虎徹か。その様子だと大した損傷は無さそうだな」

《当然……と、言いたいところだが、結構危ないところだったな。あの高さから落ちたときは完全に壊れるのを覚悟したが……衝突直前で『見えない何か』に衝撃を殺されて、な》

「……そうか」

《しかし、初めての敗北があれだけ清々しいとは、主も恵まれた奴だな。真正面からぶつかりあって力負けしたのは、俺でも初めてだよ》

「そうかぁ? 最後の高度劣勢が無ければどうなっていたのかわからないのに、か?」

《それも含めて実力だ。出来ればもう一度戦ってみたいところだが……》

 それまで朗らかだった虎徹の声が突如として低くなった。

 そしてそれの意味は主も理解していた。

 甲も、これから先自分がどうなるかが全く分からない。

 何しろ、世界を揺るがした殺戮集団に属し、破壊をしてきたのだから。

 たとえそれにどんな理由があるにしても、ただでは済まないだろう。

 最悪の場合、極刑によってこの世に別れを告げなければならない。

《それは本日の『裁き』次第、だな》

 虎徹の言葉は、覚悟を決めているかのように穏やかだった。

 僅かに惜しみはあるようだが、やはりそれは業物釼甲、その状況に置かれながらも見苦しくもがくことは全くなかった。

「……そういえば、今日は何日だ?」

《八日だ。あの戦闘から既に三日経っているぞ》

「……それってつまり……」

《あぁ。主はその間ずっと意識不明だ。命に別状は無かったのだが、何分今までの精神的負担が大きいうえに二年間ずっとと長かったためだろうよ。誰が声をかけても目を覚ます様子はなかったぞ》

「……どうりでさっきから腹の調子がおかしいわけだ……この果物は俺が食っても良いのか?」

 空腹もそろそろ限界なのだろう、甲は横の台に置かれていた見舞い品らしき果物の盛り合わせを指さしながら虎徹に尋ねた。

《……そうだな。出来ればあと四半刻(三十分)程待てるか? そうすりゃきちんとした食事が来るだろうからよ。それに、下手に食わせると後が怖いからな》

「……? 病院食か何か、か? まぁ、取り敢えず待たせてもらうか」

 虎徹の何か含んだような言葉に甲は素直に従い、空腹を紛らわすように窓から外を見た。

 眼下には夏らしく袖や裾の短い服を着た子供たちが元気そうに道路を駆け、無気力化が無くなった大人たちは、女性は明るく騒がしく井戸端会議を、漁師らしき男性は昼だというのにも関わらず酒盛りを始めているようで、街は遠目でも分かるほど活気に満ち溢れていた。

「……防人……か」

 自然と零れたのは、その単語だった。

「凄いな。俺一人じゃ、ここまで取り戻すことは出来なかったのに、な……」

 彼が出来たのは、精々自身を代償に、二年間、およそ数千の命の無事を獲得するのみであった。

 当時十四才ということも考慮すれば充分すぎる程の功績であるはずなのだが、その代償の為に鷺沼攻撃に参加せざるをえなかった。以降、出撃は防衛・撃退を中心とし、攻め入るといった作戦には一切参加しなかった。

 奪われる辛さは、彼も片鱗ではあるが知っていたための妥協点だった。

 しかし、彼ら防人は、少人数でありながらも圧倒的数量差を覆し、甲では成し得なかった事を成し遂げた。

 平穏を取り戻す、という所業を。

 自然、甲の心には憧れが芽生えていた。

《……しかし、これも主の判断あっての結果だ。誇れ、とまでは言わないが、喜ぶくらいはしても構わねぇと思うが?》

「……考えておくか……」

 そうこう話していると、部屋の扉が静かに開かれた。

 確認が無いので、甲は看護師が食事でも運んできたのかと思ったが、部屋に入ってきたのは彼が良く知る人物だった。

「……あ、あれ? こ、甲? 目が覚めたんだ?」

 彼が最も守りたいと思ったその人物・瀬戸口渚砂だった。

 身体を起こしている甲に驚きを隠せていないようで、危うく彼女は手にもっていたそれを取り落としそうになっていた。辛うじてそれを抱え直すと、もう一度甲の方を見た。

「よ、渚砂。見舞いか何かか?」

「ちょ、ちょっとね……虎徹! 何で甲が起きたのを知らせなかったの!?」

《少しばかり驚かせようとしただけじゃねぇか! そんなに怒鳴るな、周りにも迷惑だろうが!》

「あ~……二人とも取り敢えず音量を下げろ。寝起きに大音量はキツイ……」

「あ、ご、ゴメン……」

 耳を塞ぎながら甲が嗜めると、渚砂は少し反省したのか声を小さくし、軽く虎徹を睨んだ後、ベッドの横に置かれた椅子に腰を下ろした。

「……体調の方はもう大丈夫なのか?」

「一応ね。少しだけ身体が鈍ってたけど、まぁそれはあまり気にするような程でもなかったしね……それよりも、甲の方は?」

「あ~……少し節々が痛い……ってことくらいか?」

 言いながら甲は腕を回したり、手を握ったり開いたりしてみたが、時々動きが滑らかにいかない時があり、身体の不調を訴えた。

「そりゃあ、三日も意識不明で寝たきりなら、ねぇ……けど、大事無さそうで安心したよ」

「そいつは良かった。ところで、そろそろ腹が限界だから医者に俺が起きたことを伝えてくれないか? 渚砂は……弁当を持ってるみたいだから大丈夫だろうけど……」

 言いながら甲は渚砂の手にある「それ」に目をやった。先程からその箱から漂う食欲を誘う香ばしい香りやらなにやらで甲の空腹はさらに加速していったのだった。

「えっと……担当医の人から『外傷はほとんどふさがっているから、起きたら普通の食事を摂って構わない』って言われたから……その……」

 僅かに悩む様子を見せた渚砂だが、決心が着くとその弁当を勢い良く差し出した。

「こ、これ! 作ってきたから!」

「……渚砂が?」

 差し出されたそれを受け取ると、甲は静かに蓋を開けた。大きさは甲の手の平に収まる程度で、食べ盛りの男子には少々足りないと思われる。

 中には魚の煮物に野菜の盛り合わせ、そして大和人の命の源・白米が詰められていた。作ってからそれほど時間が経っていないのか、どれも僅かに温かく、香りだけでなく見た目でさらに食欲がそそられた。

「あ、食べきれなかったら残しても構わないから……」

「いただきます!」

 渚砂が言い切るよりも先に甲は箸を握り、勢い良く中身を掻き込んだ。どれほど空腹だったのかは、一分足らずで完食しきったところから少しばかり伺えた。

「御馳走様でした!」

「早っ!?」

 両手を合わせて頭を下げる甲に、渚砂はそんな感想しか出なかった。

「……相変わらず旨いな」

 反対に、甲は頭を下げたまま声を震わせていた。

 窓から射し込む光が、何故か甲の目元で反射していた。

「……お粗末様、だったっけ? やっぱ甲の食べっぷりは、見ているこっちも気持ちいいね」

 そんな甲へ、渚砂は優しく笑いかけた。

 ……取り戻せないと思っていた者がいる。

 この味も然り。

 この声も同じ。

 その笑顔も。

 それが、今の彼には何よりもの喜びだった。

 自然、甲の拳が強く握られる。

 痛みが、それが幻でないことを伝える。

 だから、込み上げる感情が溢れないよう必死に堪えた。

「……おかえり、渚砂」

「ただいま、甲」


「落ち着いた?」

「んー、まぁな。小っ恥ずかしいところを見せたな」

 それから五分ほど経った。

 甲の目はまだ少しだけ赤みが残っているが、表情は憑き物が落ちたように穏やかなものだった。

「けど、これでようやく心残りは無くなったな」

「…………ゴメンね……」

 甲の言葉に渚砂は心底申し訳無さそうに謝った。

 それが何を意味しているのかを、充分に理解しているのか、今度は彼女が声を震わす番だった。それを少しでも紛らわそうと、甲は努めて明るく話す。

「渚砂が謝ることじゃ無いだろ? 『そういう方法』しか出来なかった俺に落ち度があっただけだ」

《だとすれば俺も同罪だな。主の充分な力になれなかったんだからな》

「……今からでも説得しに行けば……」

 渚砂が堪えきれずに立ち上がろうとしたが、甲は彼女の手を素早く掴んでそれを止めた。

「悪いな。ある意味これは俺のケジメだ。罪には罰を……俺が救世主に従って被害を出したことは、揺らぎようのない事実だ……だから、俺は処分を甘んじて受けたいんだ」

「……極刑になっても?」

 彼女の声の震えは増していた。

 それに気付きながらも甲は静かに頷いた。

「……怖くないの?」

「正直にいえば死にたくないさ。けど……虎徹が前にも言っていたとおり、人生なんてなるようにしかならないから、その時は謝ってから地獄送りにでもしてもらう……」

「失礼してもよろしいでしょうか?」

 甲が残酷な決意を言い切ろうとした瞬間、扉が叩かれ、声がかけられた。

 かなり若い男性の声だったが、その心当たりがなかったため甲たちは一瞬困惑してしまったが、すぐに気を取り直して入っても構わない意思を伝えた。

「……初めまして。あなたが片倉甲少年で間違いないでしょうか?」

 部屋に入ってきたのは、長身で細身の男だった。

 大和の軍服を身に纏い、数メートル離れていても感じ取れる程の、年不相応の厳粛な雰囲気を持っていた。

「え、あぁ、はい。間違いないですけど……」

 それに威圧された甲は、息を飲んでようやくそれだけ答えることができた。

「申し遅れました。自分は大和國衛軍中将、神之木景斎と言う者です。以後見知りおきを」

「!?」

 その名前を聞いて二人は驚かずにはいられなかった。

 現・大和最強であり、今回の戦いの総大将である男が、目の前に現れたのだから仕方のない事ではあるが、渚砂は驚きのあまり後退りをしてしまうほどだった。

「……中将さんが直接って事は、もしかして……」

「はい。片倉さんの想像通り、処分が決定したのでそれをお伝えするために、失礼ながら外で待機させていただきました」

《……気になったが、少しばかり丁寧すぎはしないか? 一市民相手にそこまでの言葉使いが必要だとは思えないが……》

「癖なので見逃してもらえると助かります。何分、初対面を相手にすると自然口調がこうなってしまうので……しかし、そう言われるほどおかしいでしょうか?」

「……【滅鬼】と言われる程なので、山男のような姿を想像していました」

 景斎の問いに、自然渚砂はそう答えていた。

「皆さんにはそのような印象を持たれていましたか。式典などで顔を出さない代償がここで返ってきたのかもしれませんね」

 二人もやりとりの間に大分緊張がほぐれたのを見て、景斎は苦笑しながら話を戻した。

「さて、話は逸れましたが……ようやく昨晩、軍事裁判の判決がくだされました。被告人は、大和拠点の救世主属員ほぼ全員に、です」

「? ほぼ……というのは?」

「……拠点長であった今河籐十朗は投降することなく自決し、その後落盤によって行方不明に。現在も捜索を続けていますが、三日経った現在でも最後の場所に居た形跡は一切残っていませんでした」

「そう……ですか……」

 自身を窮地に追い詰めた人間であるとはいえ、甲は人死にを素直に喜べる人間では無かったため、非常に複雑そうな表情を浮かべていた。

「次いで幹部級だった陣場恭弥、オヴァ・ポール含む八名の武人・神樂は、本来所属するはずであった異国とのいざこざはあったものの、殺人、國家反逆などの複数容疑が証明され、終身禁固刑に処されました」

 景斎の言ういざこざとは、各国が領事裁判を要求したことである。

 中王朝・北米合衆国がそれを主張し、自国の法律で裁こうとしたのだが、景斎はそれが自国の悪名を広めたくないがための(下手をすれば今回の救世主の件とは無関係にしようとするための)発言であると見抜き、これを却下。

 結果、罪相応の罰が与えられることになり、彼らは今後一切表舞台に出ることは無くなった。

「……すいません。他の救世主の処遇については分かりました……ですが……」

 景斎の報告を聞いて、甲は耐え切れずに口を開いていた。

 今はとてもではないが、他人を気にしている余裕は無かった。

 何より、自身の判決が気がかりだったのだ。

 再びの緊張か、甲は強く掛け布団を握っていた。

「……その前に一つ、確認してもよろしいでしょうか?」

 それを理解しながらも、景斎はもったいぶるかのように甲へと尋ねた。

「あなたは薩摩の人々を人質に取られていたとはいえ、救世主の悪行に手を貸し、無辜の民を害してきた……そのことを全て考慮した上で、この判決は下されました。まず、所業について間違いは?」

「ありません」

 迷うことない断言だった。

 まるでこの時を待ちわびていたかのように。

 渚砂はその返答に一瞬驚いた様子を見せたが、甲はそれに気付きながらも真っ直ぐに神之木を見た。返事を聞いて神之木は頷き、話を続けた。

「では、あなたの処分を言い渡します。翌日から執行の猶予無しで、一切の異論は認めませんが……覚悟は?」

「出来ています」

 これもまた、即答だった。

 神之木にはまるで裁きを急かしているようにも見えただろう。それを理解してか、それ以上の問答をすることなく口を開いた。

「……本来の罪状は外患援助罪であり刑罰は二年以上の懲役になりますが……」

 外患援助罪とは、『大和国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する』というものである。

 死刑にならなかっただけでも驚くには充分であったが、神之木が続ける言葉で甲も渚砂も言葉を失わざるを得なかった。

「……『とある人物』が、あなたが脅迫によって無理強いされていたことを証明しました。よって反省の意思があれば、自分の下で一年の矯正訓練後、大和非正規國衛軍に所属させ、国家護衛に貢献させるべきであると判断されました」

「……そ、それって?」

「言い換えれば、防人として努めることで贖罪とする、ということになります」

「ま、待ってください! 俺がやったことは……」

「事前に申し上げたはずです。『一切の異論は認めない』と」

「あっ……!」

「既に言質は取らせていただきました……ですが、それ以上にあなたが建造物等損壊以外の罪を犯していないことが先日証明されたため、刑罰が軽減された、ということです」

《それは意外だな。てっきりあの崩壊で全て瓦礫の下に埋まっていると思っていたが、違うのか?》

 虎徹は平然と、そして欠伸をしながら問い掛けた。

「確かに、ありとあらゆるものがあの崩壊によって埋もれてしまいましたが……有志の奇特な人間によって必要充分な証拠が掘り起こされました」

「……奇特な人間?」

 その単語に、甲は首を傾げた。

 思い当たる節が全くないような様子だったが、しばらくして一人思い当たる男がいた事に気付いたのか、いきなり声をあげた。

「……まさか……晴嵐流か?」

《それ以外に思い当たる節は無いな》

「個人の情報に当たるため明言は避けさせていただきます」

 と言いながらも、景斎の首は縦にしっかりと頷かれていた。

「そして同時に、そちらの瀬戸口渚砂氏は長期にわたる【精神操作】の影響が残留していないかを確認するため、こちらで一年ほど身柄を預からせていただきます」

「……え?」

 いきなり告げられた決定事項に、渚砂は驚きを隠せなかった。

「ま、待ってくれ! 渚砂はこうして何事も無いし、どちらかと言えば被害者だから、咎めは無しで……!」

「……失礼、勘違いをさせるような言い方をして申し訳ありません」

 慌てた甲を見て、景斎は頭を一度下げた。

「彼女の身柄を預かるのは、最も安心できるであろう人間の下で落ち着きを取り戻すためであり、決して拘束などといった目的は持ち合わせていません」

「……安心できる人間?」

 甲の疑問を受け、景斎は一つ頷いて口を開いた。

「片倉甲に追加処罰を言い渡します。これから一年、瀬戸口渚砂の世話を務めるように」

「「…………」」

「何分、大和國衛軍は都合により現在猫の手も借りたい状況であり、人一人の監視に人員を割けない状態です。また、彼女も恋人が傍らに居れば回復も早まると見込んだ上での命令です」

「こ、恋……!? ち、違います! 甲とはそんなんじゃ……!」

「それはまた……ご冗談を」

「本当ですって!」

「……恥ずかしいことかと思うかもしれませんが、公にしておけば後々説明する手間も省けると思うのですが」

「……すみません、渚砂との話はどこから聞いていましたか?」

「先程、瀬戸口さんが部屋に入ってからになります」

「ほぼ最初から!?」

「情事に至らないようにだけ気をつけるよう医務の人間に厳しく言い付けられていたので」

「余計なお世話過ぎる!」

 今度は甲が返答した。

《済まねぇな。うちの主はそのような事に関してはいざというときにヘタレる腰抜けだから、向こう五年は健全な付き合いで終わると思うぞ》

「それを聞けて安心しました」

「俺は何かが削り落とされた気がしないでもないけどな……」

 大声を張り上げて疲労が出たのか、甲は勢い良く倒れ込んだ。

 その後、幾つかの注意事項を告げる

「……報告は以上になります。では、明日の正午に迎えのものを……そうですね、道場の方へ送りますので、必要な準備をしておくようお願いします」

 それだけ言い残すと、景斎は来たとき同様に素早く去っていった。

 部屋に残された二人と一領は、微妙な空気の中に取り残されていた。

「えっと……よかった、のかな?」

《当然だろ? 本来なら極刑も可笑しくないところを、ほとんど無罪にまで軽減されたんだ》

「やれやれ。やっと休めると思ったら、やるべきことが増えた、か。普通の生活はまだまだ遠そうだ」

 ……渚紗は彼の表情を見なくても分かった。

 彼が空を仰ぎながら、嬉しそうに泣いていることを。


 ……二年間の束縛から解かれた片倉甲と瀬戸口渚砂。

 彼らが表舞台に姿を表すのは、もうしばらく後の話。

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