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地獄の底の鬼嫁生活:人間を捨てた少女は、最凶の鬼に愛を知る  作者: 凪塩 未来


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第二章 第29話:未知なる来訪者と深層の夜明け

第二章第29話をご覧いただきありがとうございます。

水晶洞窟の視察を無事に終え、穏やかな日常を取り戻したガルドの城に、今度は深層の外部から予想外の「新たな来訪者」が姿を現すエピソードです。平和に満ちた世界に再び新しい風を吹き込む第29話をお楽しみください。

水晶洞窟での視察から数日後。

すっかり活気を取り戻した城の執務室では、ガルドが新しい魔導インフラに関する報告書に目を通し、由香はその傍らでアルドに絵本を読み聞かせていた。


「……ふう。水晶の採掘量が予想以上に安定しているおかげで、来月には下層の居住区全体に魔導ランプの配線が完了しそうね」

由香が満足げに息をつくと、ガルドはペンを置き、穏やかな眼差しを妻と息子に向けた。

「お前がインフラの効率化を提案してくれたおかげだ。かつては暗闇と恐怖に支配されていたこの深層が、今や地上のいかなる都市よりも機能的な街になりつつある」


その言葉には、かつての「恐怖の王」としての冷酷さはなく、ひとりの父親、そして国家の指導者としての確かな誇りが満ちていた。

だが、その平和なひとときを破るように、再び城の防護結界がわずかに、しかし先日の佐伯の時とは全く異なる穏やかな魔力の波長で揺らいだ。


「……ほう?」

ガルドの眉がわずかに上がり、その赤い瞳が城の正門の方向を捉えた。

由香もすぐに本を閉じ、アルドを腕に抱き上げながら緊張を走らせた。「ねえ、この魔力の気配……なんだか、あの時の人間の嫌な感じとも、深層の荒々しい奴らのとも違う気がするんだけど……?」


「ああ。警戒の必要はない……だが、珍しい客だな」

ガルドが立ち上がり、大股でエントランスへと向かう。由香もその後を静かに追った。


重厚なエントランスの扉が開くと、そこに立っていたのは、ボロボロの外套をまとった不審者などではなく、どこか神秘的な雰囲気を纏った、見慣れない「異形の旅人」の姿だった。

その姿は、深層の鬼人や魔物とも違い、背中には淡く光る翼の名残のような紋様があり、手には古い地図や魔導の測定器のような道具を握りしめていた。


旅人はガルドの圧倒的な巨体と覇気に気圧されながらも、慌てて両手を挙げて敵意がないことを示した。

「た、頼む、急にこんなところへ踏み込んですまない……! 私は、深層のさらに外側……誰も足を踏み入れたことのない『外縁の世界』から来た旅の学者だ……!」


――外縁の世界。

その言葉を聞いた瞬間、ガルドと由香はわずかに目を見合わせた。

この深層の底が世界のすべてではなく、まだ誰も知らない広大な未知の領域が外に広がっているというのか。


旅人は荒い息を整えながら、ガルドたちの背後に広がる美しく整備された城の様子を見て、信じられないものを見るように目を丸くした。

「うわっ……なんだここは!? もっと血と暴力にまみれた魔王の城だと聞いていたのに……まるで、完璧に統治された新しい街じゃないか……!」


未知の領域からやってきた旅人の登場は、ガルドと由香、そして深層の物語をさらなる壮大なステージへと導こうとしていた。

第二章第29話「未知なる来訪者と深層の夜明け」をお読みいただき、ありがとうございます!


水晶洞窟の平穏から一転、深層の外側からやってきた謎の旅人によって「外縁の世界」の存在が示唆される新しい展開を描きました。新たな出会いがガルドたちの世界をどう広げていくのか、気になる次回へ突入します!

そして次回、第30話では、旅人から語られる「外縁の世界」の驚くべき秘密と、新たな冒険の予感に満ちた展開を描きます……!


「ついに深層の外の世界が出てきた! 世界観が一気に広がってワクワクする!」「新しい旅人さん、敵じゃなさそうでよかった!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価、いいねをよろしくお願いいたします!

それでは、第30話でお会いしましょう!

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