第5話「会える」
教室はいつもと変わらない。
この憂鬱も変わらない。
でも、楽しみがあるっていうのは心の支えになるものなのだと感じた。
教室の中で響くクラスメイトの話し声は耳に悪い。
たまにこちらを見て話している奴がいる。そういう奴を見ていると自分のことを話しているのだと決めつけてしまう。
ハブられているのだから当たり前だ。
自分には席で窓の外を眺めるしかやることが無い。
授業もいつもなら真面目に聞いているし、グループワークがあるなら、自分はかなり貢献している。
周りは何もしないくせに、文句しか言ってこない。
でも今日は放課後が待ち遠しい。
帰り道にまたあの公園でレイに会えるのだから。
今日は天気予報通り土砂降りだった。
今日ぐらいは神様に感謝でもしてやろうと心の中で思う。
いつもは雨具しか持ってきていないのだが、今日は折り畳み傘を持ってきていた。
分かりやすい。レイとの相合傘を想像していたのだ。
こんなに心が惹かれているのは久しぶりで、下心を抜きしても彼女の支えになってみたいと感じていた。
自分と似た境遇の人間にはそうしたくなるものだ。
警戒心が全くないという訳じゃなかった。
でも、この学校の人じゃないし、そんな手の込んだことをするとも思えない。
だからこそ、まだ恋と言えなかったんだろう。
聞きたくない、見たくない現実から耳と目を逸らすために窓の外を見ていた。
今日の登校も大変だったな。
雨の中を自転車を漕ぐのは大変だった。
それでも、雨とレイを重ねるとなぜだか心は穏やかだ。
僕もいつか雨を好きになれるのだろうか。
雨をよく見ると昨日見たレイのダンスと同じように綺麗で美しい。
でも、どこか儚げで悲しいような、そんな感じだ。
学校が終わると一目散に外に出た。自転車に乗る前に雨具を着て帰る。
帰り道も雨が降っていてかなり険しい。
いつもならイライラしているだろう。
だが、今は違う。あの公園に着くのが楽しみなのだ。
雨に打たれながら、公園に着いた。
雨野が公園を見るとそこには昨日と同じ格好で踊る彼女の姿があった。
また会えた。




