第4話「待ち遠しさ」
雨の中をかき分けながら、雨野は家に帰った。
「ただいま。」と言い、自分の部屋に行く。
学校が嫌なことも、自分の精神がすり減っていることも親には見せないようにしている。変な心配をかけたくなかったからだ。
部屋の椅子に座り、窓を眺めた。
雨のせいで少し曇っている。いつもなら、すぐにベットに横になりスマホをいじるのが日課になってしまっていたが、今日は窓を滑り落ちる雨粒を見ていたかった。
その光景を見ながら考えていたのだ。
レイのことを。
雨が好き…か。
よく分からなかった。自分は雨がそんなに好きじゃなかったから。
自分の冷えきった心をさらに冷やすようなそんなふうに思える。
彼女が言うように、それだからこそ寄り添われている気がして好きになるのかもしれないが。
それともう1つ、彼女の容姿に少し惹かれていた。
少しふっくらとしたほっぺ、雨で濡れても綺麗なボブの髪、雨のせいで潤った目、どれもがなぜだか可愛らしくて、ずっとみていられそうだったのだ。
明日になるのが待ち遠しいと思ったのはいつ以来か…
明日も降水確率は80%でほぼ確実に降ると思うが、天気予報はあてにならない。
明日になって欲しい願いと、雨が降って欲しいという願いが重なっている。
雨が降って欲しいなんて思ったのは嫌なイベントが外で行われる時以来だな。
雨野は曇った窓に文字を書いてみた。
『雨 レイ』
無意識にその2つの単語を書いていた。
書いた文字を雨粒がなぞっていく。それは確実になぞる訳じゃなくて、文字を貫いていくようだった。
でも、その雨粒に怒りを覚えることはない。
なぜこんなにも待ち遠しいのだろう。
その考えだけが頭の中にあった。




