第10話「一緒に」
次の日、学校終わりに公園に行った。
変わらずにレイはそこにいる。
違うのは天気だ。
快晴とは言えずとも、雨は降っていない。
2人はまた公園のベンチに2人で座っていた。
他愛のない話を交わしながら、お互いを知っていく。
「あなた、名前はなんて言うの?」
「楓汰っていう名前だよ。」
「ふうた…ふうた…じゃあ、フウちゃんって呼ぶね。」
あだ名をつけられたことはなかった。
というか、つけてくれる人がいなかったのだ。
つけられたらどんな気持ちになるのか、雨野はこの時まで知らなかった。
嫌な気持ちになるのだろうか?
それとも、ちょっと嬉しいのか?
答えは後者の方だった。
分からない、レイがつけてくれたから嬉しいのかもしれない。
彼女がすることなら全て嬉しいようなそんな気持ちになるのはとても不思議だったのと同時に疑問だった。
これを恋と呼ぶべきなのか否か。
心の寄り添いのただの友達なのだろうか。
それでもいいと雨野は思っていた。
彼女にとって自分はただの友達でも、雨野にとって彼女は守ってやりたいと思えるほどの存在になっているから。
あって数日なのに、軽いと思われてしまうかもしれないが、心を病んでいる人同士が繋がればこんなものだ。
本当は心の支えや、助けが欲しいが、素直にはなれない。
素直にさせてくれる相手が欲しいのだ。
2人はベンチに座っているが、傘をさした時と同じ距離にいる。
お互いの体が触れ合い、寄り添いあっている。
無言の時間が続いても心地よいとは、まさに今だ。
「ねぇ、フウちゃんの連絡先、教えて欲しいな。」
2人はスマホを取りだし、LINEを交換しあった。
そういえば、連絡を取り合うことを考えてなかったな。
好きな人が出来たら真っ先に考えることだと思うが、実際に会うほうが良いと、お互いに思っていたのだろう。
そこから先も、何気ない会話を繰り広げた。
自分の過去のこと。
家族との思い出。
何を話しても楽しかった。
時間を忘れるほどに。
気がつけば辺りは暗くなり、帰る時間になっている。
「それじゃ、そろそろ帰ろうか。ありがとうね。楽しかったよ。」
「待って、レイの最寄り駅まで一緒に行っちゃダメかな?」




