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エピローグ:海の彼方へ

数ヶ月後。 岡山、吉備津の地を離れ、二人の少年は海が見える小さな港町にいました。


湊の瞳は黄金の輝きを失い、以前と同じ「光を捉えることのできない瞳」に戻っていました。けれど、彼は以前よりもずっと明るい表情で、潮風を感じています。


隣には、角も鱗も消え、元の少年の姿に戻った凪がいました。 ただ、その髪の一部には、光の加減で青白く輝く名残がひと筋だけ残っています。


「にいちゃん、海が綺麗だよ」 「ああ、わかるよ。凪がそう言うなら、本当に綺麗なんだろうな」


湊のポケットには、今もあの真鍮の鍵が入っています。 それはもう光りませんが、二人の絆の証として、大切に持ち続けられています。


彼らはもう、英雄でも、鬼でもありません。 ただの「吉浦 湊」と「吉浦 凪」。 けれど彼らが書き換えた物語は、この国の地下を流れる古い血を、温かな愛へと変えていきました。


遠い海の底から、誰かが微笑んでいるような、優しい風が吹きました。 二人は手を取り合い、新しく始まった自分たちの人生という「神話」の続きを、一歩ずつ歩み始めました。


(完)

「浦島太郎」の禁忌と「温羅・吉備津彦」の悲劇を、現代の兄弟というフィルターを通して再構築したこの物語は、ここで一旦幕を閉じます。 湊の「赦す瞳」と凪の「守る力」が、数千年の呪いを解くという結末を描き切ることができました。

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