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第六話 全力の愛を君に

第6話作りました。

私は、幸助と付き合った。

初めての恋だった。

ただ、幸助の寿命は1年を切っている。

だから、この1年で、一生分の愛をぜんぶ幸助に伝え切ろうと決めていた。


「おはよう、幸助」

「おはよう加奈、うわっ——」


私はそのまま幸助に抱きついた。

とにかく愛をまっすぐ伝えたかった。


「おい幸助、お前いつの間に彼女なんて作ったんだよ」

海斗が目をむき、靖国も口をポカンと開けている。


それもそうだ。

つい1週間前、キャンプでは幸助に彼女がいないことを二人は知っていたのだから。

しかも、この距離感だ。ふつう、付き合って一週間でここまではならない。


「お前さ、女子を惚れさせる才能でもあんの? じゃなきゃ一週間でこんな距離にならねぇって」

「そうだよ。麻里と俺だって、まだそんな仲じゃないのに…」


二人は、私の顔が幸助の胸にうずまって見えなかったらしい。

だから当然、知らない女の子だと思ったのだろう。


「おい、お前の彼女どんな美人か見せろよ」

「俺も気になるわ」


二人が覗き込んだ。

そして、固まった。


「……加奈ちゃん?」

「間違いない、この顔は加奈ちゃんだよな。てか幸助、キャンプ来なかったよね? どこで繋がったんだよ」


幸助はちょっと照れたように頭を掻いた。


「いや~、現在地送ったときに助けてくれた子、あれ加奈ちゃんだったんだよ。それがきっかけで仲良くなって…今に至るってわけ」


「まさか…キャンプ来なかった幸助が、俺より先に彼女作るとは……」


靖国は、自分だけ彼女がいない状況に軽くショックを受けていた。

海斗も、幸助の展開の速さに呆れている。


「…あっ、加奈」

幸助の声が少し甘えた。


「抱きしめてくれるのは嬉しいんだけど、できれば、人のいないところでしてほしいな。こんな可愛い加奈の仕草、俺だけのものがいい。……ダメ?」


その一言で、顔が一気に熱くなる。

私はあわてて腕を離した。


反則だよ、幸助…そんな言い方。


「じゃあ、今日、私の家に来て、 たくさん甘えたい。」


「……うん、行く」


その瞬間だった。


「おい!! 公共の場でイチャイチャすんな!!」

靖国が突然叫んだ。

「俺が悲しくなるし……めちゃくちゃ羨ましいんだよ! 幸助このやろう!」


その時、私の友達もやって来た。


「加奈……まさか彼氏?」


「そうだよ。私の彼氏。気遣いできるし、いつも私をドキドキさせてくれるし……もう、ほんと最高♪」


私がそう言うと、幸助は耳まで赤くした。


「いや、そんなこと言われると……照れるって」


すると靖国が、いきなり大声で涼香に向かって叫んだ。


「おい涼香! 加奈ちゃんを幸助から引きはがせ! 俺が幸助を引き離す!

こいつら近くに置いとくと、マジで何しでかすかわからん!」


その“作戦会議”みたいな声に合わせて、涼香が無言で私の腕をつかんだ。


「加奈、行くぞ。一限始まるからな」


そのまま私は、涼香にずるずる引っ張られて教室に連行された。


──そして夕方。

授業が終わり、私と幸助は私の家にいた。


「幸助だいすき……もっとぎゅーしてぇ」


「しょうがないな。……俺も、大好きだよ」


もう、幸せで胸がいっぱいだった。

幸助の愛に包まれているだけで、何もかも満たされていく。


その時ふと、幸助が思い出したように言った。


「ねえ、お祭り行かない?」


胸の奥がふわっと温かくなる。

でも……キャンプのときみたいに、友達と一緒になるのは、今日はちょっと嫌かも。


「え、友達も一緒?」


私が恐るおそる聞くと、幸助が目を丸くした。


「え? 二人で行くつもりだったよ。……あ、もしかして友達も連れてったほうがよかった?

やば、友達からの誘い断っちゃったんだけど」


「いや……二人がいい」


私がそう言うと、幸助はほっとしたように笑った。


「……嬉しい」


その笑顔が、もう本当にずるい。

心臓をぎゅっと握られるみたいに、幸助を好きだと思った。

その夜は、幸助のあの笑顔を思い出しすぎて、なかなか眠れなかった。

私が普通の女の子でいられた。

そんな一日だった。


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