表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

第三話 356

今回佳境です。

今日は、まちに待った幸助とのデート。


「しっかりおめかししていかないとね」


鏡の前でくるっと一回転しただけで、胸がふわっと軽くなる。

寿命のことなんて、すっかり忘れていた。

忘れたままでいられるなら、それだけで幸せだと思えるくらい。


「付き合ってくれ、なんて告白されちゃったら…どうしよう」

そんな妄想にふけって、ひとりで顔が熱くなる。

涼香にバカにされそうだけど……恋してたら、仕方ないよね。


そのまま浮かれた気分で水族館に到着した。

潮の香り、子どもの声、デートの空気。

全部が幸せに見えた。


そのとき電話が鳴った。

「加奈ちゃん、どんな服装してる? 俺は黒のシャツにジーパンで、茶色の靴」

声だけで心臓が跳ねる。


「待って、今探すか──」


私は、目を奪われていた。

ただそれは、幸助ではない。

幸助の上の数字だ。


「黄色の356…」


その瞬間、親友と初めて会った日のことがよみがえる。

あの時、彼女の数字は「黄色の290」。

それから会うごとに、日に従って確実に減っていった。

そして、ゼロになった日に――彼女は亡くなった。


あの時、確信した。

黄色は“死ぬまでの日数”。


胸の奥が一気に冷えていく。

私は、急に涙があふれてきた。


「どうしたんですか、もしかして加奈ちゃん?」

幸助の心配そうな声。


私は慌てて目元を拭って、なんとか笑顔を作る。

そして――


「大丈夫だよ、幸助。さ、デート楽しもう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ