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第二話 初めての恋

第二話作りました。

私たちは、海斗の車にのせてもらいキャンプ場についた。

キャンプ場では、海斗の友達である靖国に会った。

彼も寿命が長く72年と表示されていた。


「こっちが靖国で、あとは…あれ、幸助は」


「ああ、幸助はなんか寝坊らしい、なんか女の子と会うって言ったら張り切っちゃって夜眠れなかったらしい」


「幸助らしい、あいついつも全力でぶつかっていく癖あるよな」


「そうだよな、まあそれがあいつのいいところでもあるがな」


「ねーね靖国君、靖国君は彼女いないの?」


早速涼香は、靖国に話しかけてきた。


「そんな直球に…」


私は、直球に話しかけられている靖国に対して申し訳ない気持ちとともに、

涼香に対してこんな直球に話しかけられてうらやましいといった感情もある。


「う~ん、今はいないよ」


「じゃあこの機会に涼香のこともっと知ってほしいな」


なんて女だ。なんか不安云々なんか考えていた私がばかみたいだ。

まあでも、靖国と涼香が結ばれたら、いや、結ばれてほしいという気持ちもある。


いやいや、人の恋路ばっか気にしてる場合じゃない。

…でも、私だって本当はちゃんと誰かに見てほしいんだ。

このキャンプで少しくらい、自分の“普通”を演じられたらいいのに。

寿命の数字なんてない世界みたいに、ね…。


「何か手伝うことある?」


「う~ん、じゃあ、枝でも集めてもらえる。」


「わかった。」


私は、枝を集めるために山道を進んだ。


その時、転倒した車を発見した。


「——誰かいる? ちょっと、現在地を教えてもらえないかな」


声は、夕暮れの空気をふわりと震わせた。

私の心臓がひと拍だけ強く跳ねる。

その声はどこか、頼りなくて、でも不思議と耳に残る温度があった。


木々の間に視線を向けると、斜面に止まった車の中で、男の人がこちらを見ていた。

大きな怪我はなさそうだけど、困り顔の眉が少し下がっていて——それがやたらと印象に残る。


「車、ちょっと滑ってさ。仲間が向かってるんだけど、場所が分からないみたいで。しかも今日に限ってスマホ持ってきてなくて…」


苦笑混じりに説明する声は、どこか優しくて、落ち着いているのに弱さがのぞいていた。

私は動揺しながらも、現在地を伝える。


「助かった。本当に…ありがとう」


そう言った時の彼の声は、

見惚れてしまうほど穏やかだった。


そして、少し間を置いて——


「……あの、そこの君。

電話番号、教えてもらってもいい?

あとでちゃんとお礼がしたいんだ」


ただの“お礼”のはずなのに、どうしてだろう。

彼の声には、まるで私をまっすぐ引き寄せるような、熱でも冷たさでもない、奇妙な吸い寄せる力があった。


私は胸の奥がふっと温かくなるのを感じながら、番号を告げた。


彼は、息をゆっくり解くように笑う。

その笑い声が、森の風の中で溶けて、まるで私にだけ向けられたものみたいに見えた。


その場を離れるとき、背中にずっと彼の視線があるような気がした。

振り返ったら、何かが始まってしまいそうで、あえて振り返らなかった。


でも、分かっていた。

たった今起きたことが、ただの“道案内”じゃないって。


——あれは、後で思い返したとき

「ここから全部が動き出したんだ」と分かる瞬間だ。


そう確信してしまうくらい、心が小さく震えていた。


わたしは、あの男が私にとってただの男ではないような気がして、枝を集めていた時、彼のことを、ずっと考えていた。

             なんで、彼のことそんなに考えているのだろう私


私は、自分の心に疑問を抱えながら、枝を集めて、キャンプ地に戻った。


ただ、キャンプ地には、涼香と麻里しかいなかった。


私は、違和感を感じ麻里にこう聞いた。


「どうして、男子二人がいないの」


「なんか、幸助が事故起こしたらしくて、手伝うために向かっているらしい」


「ふ~んそうなんだ」


「あとなんか幸助は今日来られないらしい」


(まさかね……。でも、変に結びつけるのもおかしいし。考えすぎだ、私。)


その後は、何事もなくキャンプは終わった。

初めての、男子とのキャンプ、それだけでも楽しかった。

更に、靖国からのLINEももらった。


幸助が来なかったことは残念だったが、

はじめての男友達、絶対にモノにしなきゃ。


そんなことをふけていた時、急に電話が来た。


(誰からだろう)


「はいもしもし、どちら様でしょうか」


「先日は、ありがとうございました。私の名前は幸助と申します。」


(ん…幸助)


「幸助って…あの楽しみすぎてキャンプ遅刻した挙句、事故って帰っていった?」


「えっ…なんでそんなこと知ってるの? もしかして追跡してた?」


「いえ、私もキャンプに行ったもので…加奈というのですが」


「ああ、加奈ちゃん、知ってるよ。

実は、修理行ってた時ずっと落ち込んでた。

せっかくの女子に会う機会なのになんでこんなことに。


特に加奈ちゃん。

海斗に聞いたときから結構好感持ってたから、会えなくてかなりショックだったんだよね。」


「そうだったの。

私も海斗さんからの話を聞いて結構いいなと思ってたんですよね。

確かに靖国さんもよかったんですが、彼は涼香のほうが合いそうな印象があり、

幸助さんが来なくて少し残念だったんですよね」


「そうだったの。

ねえ加奈ちゃん……少し話さない?」


「いいですよ」


そこからの時間は、気を抜いたら夢みたいだった。


電話越しなのに、幸助の声がずっと私を包み込むみたいに優しい。


気づけば三時間が一瞬みたいに過ぎていた。


「……少しのつもりだったのに、ごめん。

でも、なんか……話せるの、うれしくてさ」


急にそんなこと言う?

心臓が自然と鼓動する。


「うん……私も楽しかったよ」


「よかった……。加奈ちゃん、話してると時間わかんなくなるんだよな」


その言い方、ちょっと照れてるのに隠せてない。


少し沈黙してから、彼がゆっくり切り出した。


「ねえ、加奈ちゃん… 今度の休み、デート行かない?」


声が普段よりちょっとだけ低い。

真剣さがにじんで、胸がぎゅっとなる。


「……行きたいよ。水族館とか、どうかな?」


「最高じゃん。それ、ずっと言われたかったやつ」


“言われたかったやつ”?

そんなの好きじゃなきゃ出てこないでしょ。


「加奈ちゃんと、ゆっくり歩けたらいいな。

あ、変な意味じゃなくて……いや、変な意味もあるけど……」


自滅してる。かわいすぎる。


「ふふ、大丈夫だよ」


「うん……なんか、よかった……」


電話なのに、幸助の照れた顔が見える気がした。


名残惜しそうな息遣いのまま、彼が言う。


「……そろそろ寝なきゃだけど、ほんとは切りたくないんだよ」


「私も、だよ」


「そっか。じゃあ…明日も、話していい?」


「うん、むしろ話したい」


「…ほんと、加奈ちゃん好きだな、俺」


しまった、言っちゃった、みたいな空気のあと――


彼が慌てて言い直す。


「いや!その……“好き”って、話してて好きって意味で!

いや、でも……」


「ふふ、わかってるよ」


でも、声の震えで本音は全部伝わってる。


「……おやすみ、加奈ちゃん」


「おやすみ、幸助」


通話が切れたあとも、胸の奥で“好き”の余韻がずっと跳ねていた。

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