第一話 不幸な能力
1話投稿しました。ぜひ見てください。あと、たぶん、この小説は30話で終わる予定です。
急な話かもしれないが、私は今大学生だ。
私の友達には、涼香、麻里がいる。
涼香は、ちょっと直接的な物言いがあるが、何に対しても全力で私があこがれる存在
麻里は、いつもは、冷静であるのに彼氏の前だと乙女になっちゃう子。
二人とも寿命がとても長い、だから私は気を置かずに話せる。
その友達と一緒にたわいのない話をしているときだった。急に私の転機がきた。
「そうだ、加奈・涼香、今度の休みの日私の彼氏とその友人と一緒にキャンプに行くつもりだけど、二人もどう」
私は、寿命が見える。
だからヒトと交流関係を持つのが怖かった。
ましては、麻里の彼氏の寿命が短い時には、とてもではないが冷静ではいられないだろう。
その時、涼香は
「私は、行くのに賛成。ちょうど出会いの場が欲しかったし」
といった。
私も、大学生であるのだから、恋愛だってしてみたい。こんな寿命の数字なんかにとらわれず青春してみたいそう思った。だから…
「いいよ、私も、行きたい」
私は、確かにそう答えたのだ
その時、麻里は、驚いた様子で。
「どうしちゃったの加奈、前までは、あんま交流関係を持ちたくないとか言っていたのに、加奈もなんか心境の変化でもあったの。」
「なんか、麻里の様子を見ていたら、私も青春を謳歌したいとおもちゃって。」
その時、麻里はすごくご機嫌だった。
「いいじゃん加奈、そんな意気込みじゃないともったいないよ」
「ありがとう、麻里。私頑張る。」
そんなさなか涼香は
「海斗の友達はどうなのイケメン多いの」
そう聞いてきた。
「う~ん、どうだろう。私もあんまり知らないんだ。けど、結構いい人なのは間違いないってさ」
「なるほどね、あってからのお楽しみってわけか。楽しみだな、どんな人が来るんだろう。もしかしたら見上げるほど背が高かったりして」
「はい、はい、妄想はそこまで、ところで二人とも、週末は駅に十時集合ってことでいい?」
「いいよ」
「私も」
私は、あの時を思い出すと人と関わるのが嫌いだ。
でも、私は、知らぬ間に自分も特殊ではないただの一人の女の子であるとそう自覚させられた。
気づけば、あっという間に週末はやってきた。
覚悟が決まらないまま時間だけが過ぎ、私はいま二人と電車に揺られている。
麻里は海斗を心待ちにしているらしく。すごくウキウキそう。涼香は、涼香らしく、彼氏をゲットするぞといった様子で、すごく意気込んでいる。私は、そんな二人と正反対に不安が生じている。
あんまり不安そうにしていたら私、涼香と麻里に申し訳ない。どうにかしないと
だが、乗っている電車は、私の不安なんて知らないまま、、目的地へと平然と近づき、駅に着くたびに不安だけが確実に積み重なっていった。
ああ、わかってる。
そんなに寿命が短い人なんかいない。
いても10年20年程度だ。焦る必要なんてない。頭ではわかっているのに
なんで
私は、この不安を誰かにぶつけたかった。でも、誰にもぶつけられない。
私は、突然席を立った
「ちょっとトイレ行ってもいい?」
「どうした加奈、具合でも悪いの?」
「大丈夫だよ。昨日食べ過ぎちゃってさ。ほんとに心配しないで。」
そう言って笑ったつもりだったけど、声が少し震えていたのは自分でも分かった。
二人の前を離れた瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
麻里は窓の外の景色を眩しそうに見ている。
涼香は“どんな彼氏候補が来るか”で盛り上がってる。
二人の世界には、未来への期待しかない。
でも私の世界は違う。
“数字”がある。
“期限”がある。
それを知っているのは——この世で私だけ。
トイレの個室に入った瞬間、足から力が抜けた。
しゃがみ込み、両手で口を押さえる。
言いたい。苦しい。誰かに助けてほしい。でも……誰にも言えない。
“
寿命が見える”なんて言っても信じてもらえないし、
もし信じてもらえたとしても、きっと皆を不幸にしてしまう。
あの時だってそうだった。
カラン、と遠くで電車が揺れる音がした。
そのたび車両は目的地へ近づき、
そのたび私だけが取り残されていくような気がして——
ぽたり、と涙が落ちた。
なんで私だけこんな思いしなきゃいけないんだろう。
麻里も涼香も、
“これからの楽しみ”しか乗っていない心でここにいる。
それなのに私は——
“
誰にも言えない不安”だけを抱えてここにいる。
そんな違いに、私は、心の中から自分が嫌いになって、泣いた。
どれだけ泣いたのだろう。
外から涼香の声
「おーい、つくぞ加奈、どんな長い時間トイレにいるんだよ」
涼香はいつもそうだ。
直接的にものを言って、濁そうとしない。
私は、これだから彼氏ができないんだと思った
でも、
涼香のそんな素直なところ、そんなところが本当に好きだ。
「うん、大丈夫今行く」
私は、泣いていた涙をぬぐうて、トイレから出た。
不安でしょうがない
でも
今日は、
今日だけは、
を押し殺さないといけない
大丈夫、寿命が短い人なんてめったにいない
その時涼香は突然口を開いた。
「どうしたの、加奈、なんかさっきまで、死んだ人みたいな顔してたのになんか今は元気じゃん、そう感じない麻里」
「言い方はあれだけど、たしかに涼香の言う通りなんか暗い顔をしていたけど今は、そんな感じしない」
電車の時暗かったということに気づかれていた。なにやっているんだろう、今日は楽しいキャンプ元気そうにしないと…麻里、涼香本当にごめん
「いや~電車でもれそうでさー行こうと思ったけど、ちょっと恥ずかしくて我慢してたんだよね」
「大丈夫、無理しないできつかったら休みながらいこう」
「いや、もう大丈夫そんな気にしないで」
私たちは、トイレで長居をしすぎていたのだろう。
駅員が急にこんなことを言った。
「おい、そんなところで、しゃべるな、通行の妨げになるだろう。降りるなら降りる、座るなら座る、はっきりとしろ」
「あ、すみません~今おります~」
私たちは、電車から降り、キャンプ場に向かった。
その間たわいのない話で盛り上がった。
麻里ののろけ話。
涼香の喫茶店でのすっごい変な話。
私の、趣味の話。
本当に楽しかった。
寿命のことなんてすっかり忘れていた。
ふと、そんな会話の中に、ただならない音が混じってきた。
プー
クラクションの音だ。
私は、これはおかしなことだと気づいた。
普通車のクラクションなんて鳴らさない。
私は得も言われぬ恐怖を覚え、振り向くのをやめた。
しかし、麻里と涼香は振り返りこう呼応した。
「あ!海斗、車で来てくれたんだ。」
私は押しとどめていた不安が再び胸の奥からあふれてくるのを感じた。
まって、まだ心の準備が
わかってる。若くて寿命が短い人なんかごくわずかたぶん大丈夫そんなことわかっている。
でもやっぱり怖い
私は、しばらくの間このような葛藤を抱えながら立ち尽くしていた。
それに違和感を覚えたのだろう。麻里は、こういった。
「な〜に加奈、ずっとそっぽ向いてるじゃん。海斗の顔見れないってのか~」
麻里が笑いながら、私の肩をつついた。
肩越しに、彼の足音が近づいてくる。
その一歩ごとに、胸がドクッ、ドクッと跳ねた。
まだ無理だよ。
麻里の手が私の顎に触れ、軽く押す。
視界がゆっくり、海斗のほうへ向かっていく。
一瞬の時間のはずなのに永遠のように感じられる。
お願い……せめて……長く生きる人でいて。
息を飲む。
視線が、ようやく海斗の顔へ上がった。
——数字が見えた。
赤の78。
赤は年数を表す。
足から一気に力が抜けた。
それは、怖さじゃなくて、安堵のせいだった
あ~よかった~短いどころか長いくらいだ。こんな考えていた私がばかみたい。
我に返ると、私は、ものすごい汗をかいていた。
よく、麻里と涼香は気づかなかったな
私は、息を整えた。そして、私は改めて今回の目標を再確認した。
そうだ、今日は以前の自分を変えるため
私は、一歩踏み出した。
恐怖はある。
ただ、今では好奇心が勝っている。
ふと空を見る。
「なんて暗い雲」
こんな空を見ると…
どうしても思い出す。
親友と初めて会った日もこんな空だった。
“短い数字”を見たときの、あの息の詰まる感じ。




