第14話 不幸とは
俺は、いつもよく言われる。
不幸な人間と。
小学校の時からそうだった。
かけっこの時、転んでしまい、1位を逃した。
テストの時、勘で選んだ2択を外してしまい、補修をさせられた。
俺は運に恵まれていない。
悔しかった。
だから、俺は、神を信用なんかせず。死ぬほど努力をした。
ただ、それでも、運は、俺の未来を遮った。
A判定で確実だといっていた東京大学に落ちた。
俺が、苦手とする分野が多く出たのだ。
俺は泣いた。
凄く泣いた。
どうにもならないことくらいわかっていた。
でも、悔しかった。
その後、俺は、併願先に行った。
そこでも、不運は続いた。
提出日にインターネットが使えずに提出できなかったり、
先輩が大学にいなく独学で勉強をしたり、
テストの時に時計が壊れたりした。
俺は、本当に不幸だった。
でも、幸運なこともあった。
加奈と出会えたのだ。
加奈は、俺にとっての人生で唯一の最愛の人。
この大学じゃなかったら出会えなかった。
だから、俺はひょっとして幸運な人間なのかとそう考えた。
でも、そんなときに、加奈から310日しかあなたは生きられない。と言われた。
やっぱり、俺は不幸だった。
俺は、加奈が帰った後、森の中で泣いた。
受験で落ちたときよりも、もっともっと泣いた。
でも気づいた。
寿命が短かったからこそ、加奈は、俺にあんなにアプローチをしてきた。
寿命が短いからこそ俺も、加奈とどうしたいかすぐ決めることが出来た。
そして、俺は考えた。
時間の制約がなかったら、俺らの関係は、そんなに進んでなかった。
だって、いつでもできるって考えるから。
そもそも、不幸な体質出なかったら、努力せず。東京大学に受けることすらかなわなかったのかもしれない。
この大学にも来ていなかった。
加奈にも出会っていなかった。
そして、俺の中で、不幸だと思っていた出来事の並び方が、別の意味を持ち始めた。
幸不幸は結局、考えかた次第なんだ。
俺は、20になってはじめてこのことに気づいた。
遅すぎだ。少なくとも、俺にとっては、
俺は人生の大半を、自分の思考で自分を不幸にしてきた。
だから、もうそんな考え方はしない。
そんな結論を出した後。
俺は、立ち上がった。
加奈は、俺のために何度も何度も慰めてくれた。
帰ってきた後、俺の気持ちを察してくれて、抱きしめてくれて…
もう迷わない。
自分を呪わない。
「ねえ加奈、ありがとう。」
加奈は、台所で料理をしていた。
その手を止めて、私のほうを見た。
「もう大丈夫なの。」
俺は、笑顔で答えた。
「ああ、もう大丈夫」
加奈はその言葉を聞いて、満面の笑顔を浮かべた。
俺には、もったいないくらいの。




