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特級呪物
医療従事者でなくても『インシデント』『ヒヤリハット』なる単語を知る人がいると思う。
医薬品を薬剤師が調剤し払い出すサイクルの中でアシスタントが患者に関わるようなインシデントに関わる機会は基本すくない。
唯一、払い出した注射薬を乗せていたカートが返却され片付けを行う際だけ突出してエンカウント率が跳ね上がる。
注射のカートは返却されるとトレーに差し込まれたリライトカード(投与日や患者名や病棟を機械が書き込むもの)に破損や不具合がないか確認してトレーを消毒・清掃して次の調剤に使えるようにする。
この作業は病棟から降ろしてはいけないものがないかの確認も兼ねていて万が一見つかった場合は患者が周囲にいる事もあるため隠語で病棟に伝えられる。
『特級呪物降りてきています。』
一番降りて来るのは患者識別のリストバンドなのだが今日は違った。
電話連絡する私の目線の先には患者の入れ歯がある。
歯肉のピンクがなんか生々しい入れ歯…。
病棟からリーダー看護師が慌てて降りてきて回収して行ったが朝食…患者さん大丈夫だったかな?




