魔王。討伐できない
勇者の剣をなくした勇者リンは、魔法使いカミラと獣人族のバーンと共に、魔王討伐の旅ではなく、勇者の剣を探す旅に出る。
「勇者の剣、失くしてしまいました」と僕は仲間の皆に明かす。
始まりは、魔王を討伐するために、魔物キュクロスをカーネル森で倒した後だった。
「やった!これで、魔王を倒せる。」
そう言ったのは、ピンクの髪に綺麗な瞳を持った魔法使いのカミルだった。カミルは元は王城の魔法使いだったけど、王様の命令で僕の魔王討伐に加わってくれた。
「そうだね・・・」
「どうしたんだ?いつものお前なら、カミラと一緒に喜んだだろう」
この察しが言い獣人族は、同じく僕の仲間で一緒に魔王討伐の旅をしてきた。
「バーン・・・実は」
カミラとバーンが目を見開いていた。
「今あんた。自分がとんでもないことしたのわかってる?」
僕はカミラの目を見つめる。するとカミラが・・・
「殺す・・・」
「待ってくれよカミラ。確かに僕が、失くしたのは悪いけど。でもさあ、あれはどうしようもないじゃん。フェザーの攻撃を受けなかったら、勇者の剣どころか僕まで死んでたんだよ」
フェザーは、僕ら勇者一行が倒した魔王の幹部の一人だ。
「勇者よ。これに関しては、お前が悪い」
「ちょと。バーンまで・・・・!」
バーンはため息をついて言い出した。
「だってよ。酒におぼれているのをフェザーのせいにするのは、無理があんだろう」
「まあ、とにかく、魔王討伐は先送りにして、まずは勇者の剣を探しましょう」
カミラの言葉にバーンは納得した。僕もそれを了承。
村から出ると、王様から渡された魔道具。『鏡』が鳴った。『鏡』は、魔力を糸のようなものにして、同じ『鏡』に繋げて、連絡ができるという代物だ。
「おぉ、勇者リンよ。最後の幹部フェザーの討伐ご苦労であった」
「あの王様」
「なんじゃ?」
僕はカミラに黙って、勇者の剣の替えがないか聞いてみることにした。
「王様、勇者の剣って、二つなかったりしませんか」
「・・・・」
「王様?」
「勇者よ。魔王を滅ぼす勇者の剣は、この世に一つしかない。それを二つとな、貴様欲張りにもほどがある。もしかして、勇者リンよ。貴様勇者の剣を・・・」
王様の言葉に反応したカミラが、僕から、『鏡』を奪い取り王様と話す。
「王様、違いますよ・・・・決して、勇者の剣をなくしたとかではないですよ。別に勇者の剣が二つあったとしても、バーンと私は、そんなに欲張りではありませんよ」
「そうか、魔導士カミラよ。それならもう切るぞ」
プツン、と『鏡』の魔力が切れる音がした。
「何してるのよ!」
カミラが怒りながらこちらに近づいてくる。
「いや、僕はただ、勇者の剣がもしも二つあるのなら、王様にお願いして貰おうかなと」
「それが危ないのよ。勇者の剣をなくしたなんて言ったら、私たち死罪なのよ!」
「えっ⁉」
僕は驚きバーンはため息をついて、カミラはますます怒りだした。
「そうに決まってるでしょ。私とバーンならともかく、あんたは元は庶民なんだから、死罪でしょうが」
「なんで、バーンと君だけが死罪じゃないんだよ」
村のすぐ外で騒いでいる僕たちに一つの嬉しい知らせが舞い込んでくる。
「ねえ?」
村の住民の女の子がカミラに話しかけた。
「剣なら山頂にあるよ」
「何でそんなことがあなたにわかるの」
「だって、昨日の夜。お母さんが言ったもん。山には、魔王が封印した伝説の剣があるだって」
僕とカミラは顔を見合わせて、「「それだ」」
誤字脱字があれば教えてください。