クフ王のピラミッドに入ればピラミッド観光は完結するのか ⑨
さて、最初に「ほとんどのピラミッドはギザからダハシュールの間にある」と書きました。
そうなれば、そうでないピラミッドもあるわけです。
まあ、正確には違うものの、アブラワシュもギザと言えなくはない程度の距離で実際に台地のうえにあるアブラワシュのピラミッドからギザのピラミッドを眺めることはできます。
そういうことで、正真正銘そのエリアを外れたピラミッドを紹介します。
まず、ラフーンとハワラのピラミッドです。
場所がどこかといえば、ダハシュールよりも南、ナイル河沿いに百キロほど南下しベニ・スエフという都市からファイユームを目指して西に進んだ途中ということになります。
この辺も当然カイロからの日帰り圏内ですが、ここを観光コースに入れているにほんの旅行会社のツアーはほぼありません。
私もパッケージツアーでここを訪れたのは一回だけで、残りのすべてがは個人旅行でカイロからアマルナ観光の拠点であるミニヤに向かう途中で立ち寄ったものとなります。
ふたつともピラミッドも内部見学はできませんが、それでも見るべきものはあります。
そして、特徴はその構成された材料。
日干し煉瓦。
日本人がその名を聞いて想像するのは耐久性に乏しいというものでしょうし、現在の様子を見れば「やはり」と思うかもしれませんが、その考えが正しいかは微妙でしょう。
日干し煉瓦が使用されたのは核になる部分であり、その表面は石灰岩の外装が施されていました。
このふたつのピラミッドを含めて中王国時代のピラミッドの多くが核に日干し煉瓦を使用していることから耐久性はあったと判断すべきであり、さらにこのピラミッドからつくられたのは三千五百年前。
当事の建造物でこれだけの外観を保っているというは日干し煉瓦はエジプトにおける建材としてふさわしいということでしょう。