元聖女、情報収集する
翌朝、宿を出た私は目的地へ……行く前にまずは情報収集だ。
現在どのような状況になっているのか、を調べて生活プランを立てないといけない。
で、街の人に聞いてみると、村は現在過疎化状態で一桁の村人しか住んでいない、しかも老人ばかりだそうで、若いのは一応村長としているこの地を治める領主であるコーナ男爵の息子らしい。
この息子さんも余りやる気がないみたいで基本的に放置状態だとか。
魔獣については全く姿を現していないらしいので平和そのもの。
「土地はたっぷりあるんだから後は人手だけどなんの特色も無い田舎だし農家はやり手が少ないからねぇ……」
「なるほど……」
「お嬢さん、あの村に住むつもりなのかい?」
「えぇ、私田舎暮らしが好きなものでして」
「へぇ~、若いのに変わっとるねぇ」
とりあえず笑って流しつつ必要な情報は手に入れた。
(まずは村長さんに挨拶しとかないといけないな、それから住む家決めて野菜とか育ててのんびり過ごす、あ、守護樹を植える場所も見つけないと)
脳内でそんな事を考えながら私は街を出て目的地である村へと向かった。
徒歩で10分ほどで目的地である村に到着した。
うん、思い出した、この風景だ。
自然に囲まれたのどかな風景、これが私の求めていた物だ。
早速、一番大きな屋敷へと向かった、多分ここが村長さんの家だ。
屋敷にはメイドさんが1人、そして村長さんがいた。
「この村に住みたいって? 随分と物好きだな」
「はい、前に教会の仕事でこの地を訪れた事がありましてそれで気に入りました」
「あんた前職教会で働いていたのか? 前に聖女様が来られて魔獣を退治してくれたけどその中にいたのか?」
「はい、いました。 事情があって教会を辞めたんですが……」
「教会で働いていたのなら丁度いい。 実は魔獣除けの結界が弱まってきているみたいなんだ」
「そうなんですか?」
「はい、定期的に結界を見張っているんですが威力が弱まってきていて魔獣も活発化しそうになっているんです」
「わかりました、ちょっと見てみますね」
引っ越し早々いきなりお仕事をする事になった。