元聖女、元司祭の素性を知る
元司祭様達がやって来てくれて賑やかになったこの村。
特に元司祭様が来てくれたのは村にとっては大きな力になった。
なんせ若い男性は村長のみだから、どうしても力仕事がなかなか出来なかった。
しかし、元司祭様が来たおかげで例えば建物の修理とか作物の収穫とか重い物を運んだりとかが出来るようになった。
司祭様も頼られるのが嬉しいようで張り切っている。
「元司祭様、すっかり馴染みましたね」
「あぁ、こちらとしても嬉しい限りだ、ところで気になっていたんだが」
「なんでしょうか?」
「なんで名前で呼ばないんだ?」
名前……?
私が首を傾げると村長は呆れていた。
「いや、司祭は職業だから名前がちゃんとあるだろ、それにもう司祭じゃないんだから……」
村長に言われ初めて気がついた。
「言われてみればそうなんですけど……、私、名前を知らないんですよね。 元司祭様も名乗った事は無いですし」
「う〜ん、もしかして訳あって名乗れない事情があるのか?」
私に言われても……、ねぇ?
「というわけで名前を教えていただけないでしょうか?」
こういう事は即行動!という訳で元司祭様に直接聞くことにした。
「また唐突ですね……、でも確かに名乗った事はありませんね」
「何か事情があったのですか?」
「いや、教会に入る時に俗世との縁を切る為に名前を捨てたんですよ、まぁ教会を辞した今なら名乗っても良いですね。 私はステファンと言います」
「ステファン様、ですか。 貴族みたいなお名前ですね」
「まぁ一応元貴族ですからね」
「えっ!? 元貴族なんですかっ!?」
私は驚きの声をあげた。
「えぇ、昔の話ですけどね。 実家とは縁を切ってますから」
そう言うとステファン様はちょっと寂しそうな顔をした。




