元聖女、領主様に会う
「あれ? あの豪華な馬車は?」
いつもの様におじいちゃん達の話し相手をしていると田舎道に似合わない馬車が通っていくのを見た。
「あぁ~、ありゃ領主様の馬車だ。 定期的に来てるんだよぉ」
「領主様ってレイル村長のお兄様ですよね? 兄弟仲は余り良くない、と聞いたのですが」
「どうだろうなぁ~、人様の、特に貴族様の事は儂ら平民にはわからんからなぁ~」
カッカッカッと笑うおじいちゃんにそりゃそうだ、と納得した。
その数分後に私はユナさんに呼ばれてレイル様の屋敷に行く事になった。
……厄介な匂いがプンプンするんですけど。
「君が最近越してきた少女か?」
「は、はい、ベラと言います……。 元は教会で働いていました」
「コナー領領主のリナル・コナーだ」
リナル様は流石は領主と思える様な佇まいで穏やかな顔をしている。
うん、レイル様とちょっと似ている、レイル様もカッコいいけど更に大人のカッコ良さを持ち合わせている感じだ。
そして、何と言っても貴族の下品な部分が無い。
下品というのは見た目とかではなく漂わす空気感みたいなもので、聖女としていろんな貴族に接してきてなんとなくわかるようになった。
要は下心があるかないかの話なんだけどリナル様は下心は無い、私の直感がそう言っている。
「弟から報告があったから見に来たんだが……、なるほど結界を張り直すだけの力を持っているだけあるな」
「わかりますか?」
「まぁ、なんとなくね」
「兄貴はいつもこんな感じなんだよ……、話の軸をぼやかしてきている、というか……」
なるほど、掴み所がないという事ね。




