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戦いの流れ

 俺は騎士や王女と共に王都へ戻った。そして一度俺は宿へ入り、シャル王女は王城へ報告に向かう。

 その後「数日後に城へ招く」という連絡を受けて待つことに……その間に俺は色々と調査を進める。具体的には次の敵が現れていないのか、ということについて。


 ただ、俺としては第六の敵というのは出てこないだろうと予想していた。理由としては、さすがにタイミングとして早すぎるのもそうだが――仮に裏で手を引く存在がいたとしても、第四の敵であったブロウの準備不足を考慮し、性急に動いても国を脅かすレベルではない、と判断するに違いないからだ。

 俺は少しずつではあるが、これまでの出来事を踏まえて一連の戦いにおける全体像が見えてきた……まずゲームにおける『破滅の使徒』について。この存在が間違いなく裏で手を引き様々な災厄を引き起こしていたのは間違いない。


 ではなぜ、そういったことをするのか――さらに言えば、なぜ世界を滅ぼす存在を見つけることができたのかなど、疑問はあるがそういった存在が表に出てきている事実から、ひとまず動機や手法については考慮しないものとする。

 使徒はロイハルト王国へ攻撃を仕掛けるとして、まずは魔物の王オルザークに目を付けた……ただこれは、オルザークがいたから利用したのか、それとも『破滅の使徒』自身がオルザークを生み出したのかはわからない。仮に前者であれば、使徒は凶悪な存在を見つけることができる情報網を持っていることになる。


 後者である場合は、最初から国を滅ぼすために色々と活動していたことになる……どちらにせよ、まずは第一の敵であるオルザークが動いた。しかし、俺の存在によってロイハルト王国へ被害を及ぼすことなく滅んだ。

 次に古の邪竜について。出現するタイミングがあまりにも早すぎたという事実を踏まえると、オルザークの動きを『破滅の使徒』は把握していたはずだ。そして俺の手によって滅ぼされてしまったことで、早々に目覚めさせた。


 もしオルザークが破壊の限りを尽くしていたら、どうなっていたかわからないが……とにかく敵は俺やシャル王女の動きを把握し、観察あるいは監視していたことから邪竜を復活させた。ここについてはほぼ間違いないだろう。

 しかし、それも俺の手によって滅んだ……次は暗黒大樹。元々、リーデの森最奥で使徒はロイハルト王国を滅ぼすべく準備をしていたのだろう。オルザークが使徒の手によって生み出されたのであれば、暗黒大樹も同様だと考えてよさそうだ。


 被害がほとんど出ていない状況であり、使徒としては時間を掛けて影響を与えたいところであったはずだが……俺が先んじて動いたことで暗黒大樹も消滅。そして、第四の敵と第五の敵、という流れが続いた。

 しかし第四の敵であるブロウは完全に準備不足……彼はどうやら使徒によってそそのかされて色々と動いていたようだが、残念ながら攻撃を果たす前に滅んだ。残るは第五の敵だが――


 ここについては王都へ帰還して翌日に結論が出た。シャル王女からの報告で「王城内に存在していた悪しき力は浄化した」との連絡を受けた。

 俺は宿からではあったが王城内を精査し、第五の敵に関連するような嫌な気配は霧散したと察することができた。よって、ゲームにおける第五の敵までは完全に消滅。被害については王様が体調不良になった以外ほぼ皆無であり、ここまでは人間側の完全勝利だと考えていい。


 この状況を受けて『破滅の使徒』はどのように思うのか……国を滅ぼそうと――世界を滅ぼそうと考えている存在が、ここまで被害がない状況であれば黙っているはずがない。

 だが、おそらくすぐに利用できる存在はもうないはず……ゲームにおける第六の敵は凶悪だが、さすがに現状でそれが現れるとは考えにくい。そもそも第四の敵であるブロウですら不完全な状態だった。もう他者に頼るというやり方はしないだろう。


 ならば次は使徒自身が姿を現す……そしてその存在の正体については――色々と頭を悩ませている間に、シャル王女から連絡が来た。






 王女としては一度今後のことを話したいとのこと。拠点についてもそこで説明をするということで、俺は宿を出て王城へ向かう。

 その道中で、考える……もしかすると、この城に入ったら、ゲームでは語られなかった事実が浮かび上がってくるかもしれない、と。


 もっともまだ疑問はある。使徒はなぜ世界を滅ぼす存在の情報を持っていたのか。そして転生した俺という存在は何なのか。また『終焉の剣』とは一体――様々な疑問が膨らむ中、俺は戦いの真実へ近づくべく、王城の中へ。

 最初に入った時と比べ空気が澄んでいる――第五の敵については完全に消滅したのだと、改めて理解する。


 だが当然、これで終わりではない。むしろ目先の脅威が無くなったことで、新たな始まりになるかもしれない……そんな予感さえ抱きながら、俺はシャル王女が待つ部屋へと向かった。


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