第42話「暗黒龍敗北」
「あれ?"例の異端児"はいない感じ?」
嶋田小夏は辺りを見渡す…そこに"お目当ての者"はいなかったようだ。
「まぁ、いいや…サクッと殺しちゃお…」
嶋田小夏は携帯を取り出す…その刹那…その背後から一人の少女が大声で叫ぶ。
「貴様…我の相手になってくれるのか?」
少女…バハムートは手をボキボキと鳴らし、屈伸する…彼女は準備運動を済ますと背中から翼を生やし、空を飛ぶ。
「さて、貴様は如何程なんだろうな!」
バハムートは腕を本来の姿…暗黒龍の前足に戻しながら大きく振りかぶる…その禍々しい腕には夥しい程の魔力が込められていた…
パシャッ
「へぇ…エグ…だけど…"消去"っと…」
嶋田小夏は瞬時に携帯で写真を取り、携帯を弄る…するとバハムートの振りかぶった腕は空間ごと消えたかのように無くなった…切断されたであろう箇所からは血がドバドバと滴り落ちる。
「…貴様はよく分からん技を使用するのか…面白い…面白いぞ!」
バハムートは腕が切断されたのにも関わらず高揚する…その姿は闘いに飢えた獣のようだった。
「キモっ…何それ…」
パシャッ
嶋田小夏は再度写真を取り、携帯を弄る…
「二度も同じ手には喰らわん!」
バハムートは多重結界を発動させる…バハムートを中心とした結界が何重にも貼られる…バハムートは一度で理解した…"パシャッ"っと音が鳴り、手にある物を触った時に発動する技だと…だが、"防げると思ったのが間違いだった"…
「おチビちゃん…ウチの力…舐めてるね。死ぬよ。」
「なっ…!?」
バハムートは切断されていない方の腕と両足が同時に消える…ダルマ状態になったバハムートはその場に寝転ぶしかない…
「ふっ…この我がこの様な情けない姿…敗北し学んだはずなんだったが…」
…バハムートは敗北を認め、吐血しながら笑う…それは自嘲するような薄ら笑い…
…はぁ、見てられねぇ…
"獄炎"
…俺は予め位置とった嶋田小夏の背後から手を伸ばし、彼女の肩を掴む…すると、全身に炎が燃え広がった。
「熱ッ!?何これぇ!?」
彼女は理解出来ないのだろう…驚きの声を上げている…その隙に
「はぁ…次は"異世界人"が相手か…」
俺は呟きながらダルマ状態のバハムートを回収する…そして
「"透明"。」
自身に掛けていた透明をバハムートにもかける…俺は燃えながらのたうち回る嶋田小夏を後にし、その場から逃げ出した。まぁ、恐らく魔王城は"異世界人"のせいで悲惨なことになるだろうが…別にどうでもいい。"他人"などな…
…
数刻後、嶋田小夏に燃え広がった炎はようやく静かになった…だが、彼女の皮膚は爛れ、もはや化け物の形相となっている…
「ウチをこんな目に遭わせた奴は殺す…てか"この世界"壊す!」
彼女は自撮りをし、体を以前の状態に戻しながら誓う。




