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第4話「世界最強」

「お前は本気で反省させてやる!」


俺は復活早々に啖呵を切る。


「良き啖呵だ!貴様を殺すのは惜しくなったぞ!」


いつまでお前が優位にいると思っている。

俺は奴の側面に移動する。

そして一言


「今度は俺が痛めつけてやるよ。お嬢さん。」


同時に奴の頬を叩く。

バハムートはその衝撃に耐えられず、飛ばされながら地面に伏せる。


「な…何が起きた?」


奴は事態を飲み込めないようだ。

不安ながらも立ち上がる。

と同じに俺は奴の頭を掴む。


「お嬢さん、いっぺん死にかけたんだ。文句言えねぇよな?」


そう言い、おもいっきりの力を込めて腹を殴る。


「グハッ!?」


奴は威力に耐えれず、吐血する。

ここで奴は心の底から理解する。

自分は眠れる獅子を起こしてしまったと…


「馬鹿な…」


バハムートはそう呟くと尻尾と翼を瞬時に生やす。


「…我の過ちを認めよう。貴様は格下などでは無かった。我と対等で闘える奴だ。」


奴は瞬時に飛び上がり、空中に留まる。


「だが!我はこの世で一番に強い!最強の看板は安くないぞ!」


奴は空中で多重に魔法陣を形成する。

魔法陣は空を覆う程の数、見る限り回避は不可能だ。


「超えてみろ!挑戦者…いや、我が宿敵よ!」


少女は口を膨らませる。

膨らませた口から炎の塊を出す。

すると、魔法陣から同様に炎の塊が地面に降り注ぐ。


「仕返しなんてせずにトドメさせばよかった。」


俺は自分の失態を責めながら、瞬間移動を駆使し、回避する。

だが、隕石とも遜色ない奴の攻撃は永遠に降り注ぐ。

地面ももう踏める場所は限られてきた。

俺は瞬間移動し、奴の真上をとる。

それと同時、奴が振り返る。

手には魔力が込められていた。


「貴様の行動なぞ読めている!」


バハムートは翼を駆使し、俺の間合いを詰める。

その間に俺は身体強化、防御結界を自身にかける。


「…直撃だ!」


なんと奴の拳は防御結界を貫通し、俺の顔面にクリーンヒット。

しかし、身体強化をかけていた俺はふらつく程度でとどめる。


「お返しだよ!」


俺は奴にカウンターの拳を繰り出す。

奴は反応するものの拳は顔面にブチ当たる。

奴もふらつき、吐血する。

だが、吐血しながら魔法陣を辺りに展開し、両手に魔力を込める。

俺も呼応し、辺りに魔法陣を展開、両手に魔力を込め、黒き炎を鎧のように纏う。

両者覚悟する。

この攻防はただでは済まない、良くても両者重症を負うだろう。

初めは負けようと思っていたんだけどな、やっぱり俺は気分屋なんだな。


「バハムート!お前を殺して安住を得る!」


「この期に及んで面白いことを言う奴だ。我は貴様は殺し、正真正銘の世界最強となる!」


バハムートの魔法陣からは隕石が飛び出し、俺の魔法陣からは刀が飛び出す。

魔法陣が作動したのと同時、俺達はスタートを切る。

俺も奴も拳を振りかぶる。

そして、両者の拳がぶつかり合う。

直後、辺りが白飛びし、轟音が響き渡る。

俺達は三日三晩闘い続けた。

何回死ぬかと思ったか…

決着は唐突だった。

次の攻撃をしようと思った俺だったが、できなかった。魔力切れだ。

意識が混濁していた俺は膝をつきながら、次の手を考えていた。

だが、その考えは不要だった。

膝をついた俺をバハムートが笑ったと思えば、いきなりぶっ倒れたのだ。


「…勝った…俺の勝ちだ。」


そう声をあげると俺も意識を失った。

俺は目が覚める。

目覚めた場所は少女の太ももの上だった。

…膝枕じゃねぇか。


「どういう風の吹き回しだ?いきなり襲った野郎とは思えないな。」


俺はニヤニヤしながら奴に質問を投げかける。


「御礼だ。我は久々に本気で闘えた。…ありがとう、血塗れの悪魔よ。」


そういうと少女は微笑む。

俺は彼女の不意打ちに驚き、顔を赤く染めてしまった。


「なんだ?満更でも無さそうだな。」


「うるせぇ。」


くそが、調子狂うな。


「そういや、聞きそびれていた。血塗れの悪魔ってなんだ?」


「血塗れの悪魔とはな…ここ数ヶ月で魔物を狩り続ける戦闘狂の異名だ。心当たりはあるだろう?」


…俺のことだな。つまり俺はやり過ぎて、名が売れてしまったってことだな。


「…バハムートと俺の戦闘ってバレると思う?」


「当たり前だろう。この戦闘は全世界に知られるだろう。お主のワールド・ディザスター入りは確定だろうな。」


話が壮大過ぎて、なんかこいつ殺す気すら失せたわ。


「とりあえず家建てるわ。お前さんもゆっくりして行けよ。」


そういい、俺は立ち上がり、魔法陣を展開、家を召喚する。


「おお!凄い魔法だな。なんと言うんだ?」


「あぁ、これは創造魔法…」

一方、アルリタ帝国

1人の士官が王城を走り回る。


「これはマズイ…」


そう呟きながら、王城で一番大きい扉を豪快に開ける。


「帝王様、バハムートと血塗れの悪魔の戦闘が終結したそうです。」


玉座に座するメルベルス帝王は重い腰をあげ、士官まで近寄る。


「それで結末は?どうなった?」


士官は持っていた紙をくしゃくしゃにし、こう告げる。


「…引き分けでございます。」


帝王は頭を抱え、叫ぶ。


「全世界に発信しろ!ワールド・ディザスター…世界を一人で滅ぼせるモンスターに血塗れの悪魔を追加せよと!」


士官は怯えながら首を縦に振り、急いで王の間から出る。

一人残った王の間にて帝王は呟く。


「バハムート…世界最強と謳われている奴と互角…血塗れの悪魔、貴様は何者なんだ?」


王の椅子の横に置かれていたのは被害報告の紙。

その紙には国境付近の魔族領の土地が悲惨になっている絵が載っていた。

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