第32話「原初の魔人?威厳もねーよ。」
…世界に震撼が走る…リヴァイアサンが死んだ…
この話は各地を巡る…
だが、彼女が最後に残した命を賭した巨大結界…それは海洋都市ルルイエを覆い、白い制服…神の信徒を名乗る反逆者の侵入を拒んだ…彼女は"約束"を果たし、この世から消えた…
その話は反対側…東側…ソウヤ宅にも回る
「リヴァ…」
フェンリルは新聞をただ呆然と見ていた
「私は信じない…要領のいい貴様が死ぬ筈がないだろう…ないだろう…」
フェンリルは新聞紙を握り締める…読めないぐらいクシャクシャに…
「おい、新聞は俺も見たいんだけど…」
俺は座する彼女の肩を掴み、顔を覗き込む
…次の言葉を胸に仕舞いこむ…
軽口を叩くモノなら家が滅茶苦茶になる…
彼女はただ目を見開いていた…血管は剥き出しになっていた…破裂するのではないかと思うぐらいに、口は苦虫を噛み潰したよう…分かる…俺もなった事がある…こりゃ"憎悪"だな…感情に呑み込まれてやがる…
「…まぁ、俺はぼちぼち犯人でも探しとくよ。」
助ける義理も無いが…家の雰囲気が悪くなる…ご機嫌を取るのは面倒くさいが…この場合はどうするか分かる…
"原因を取り除く"…これしかない。
「頼んだ…ソウヤ…」
彼女は低い声で唸る…偉い奴だな…感情を必死に押し殺してやがる…俺なら暴れるのに…暴れたのにな…
「"眷属召喚"」
初めて試す技だ…"眷属召喚"、名前の通り眷属を召喚する魔族専用魔法だ。確か魔力量によって出てくる魔人の強さも変わるらしいが…
これはやり過ぎだろ…
地面が揺れる…動物達は逃げ惑う…
その原因は目の前の大岩に座っている…
「何じゃ…ワシを読んだのはお主か?」
「なるほど…"原初"を3人も…かなりの腕のようですね…」
「面倒臭い…人の下につくのダルいからやだなぁ〜。」
3人は各々に口を開く…こいつらは単体で神獣と同格かそれ以上…大体こういう奴らは…"異名持ち"だ。
「まずは名乗ろう…ワシは"傲慢"の名を持つ原初の魔人が1人、ルシファーである。頭を下げよ!人間!」
「ククク…私は"憤怒"のサタン…宜しくお願い致します。」
「…私は"怠惰"のベル…よろ…」
ほらほらなんか面倒臭い奴等だよ…多分…面倒臭そう…
"傲慢"のルシファー…金髪で背中に7色の羽が生え、王のような服装のボイーン…
"憤怒"のサタン…黒髪と白髪のツートンカラーにスーツを着たボイーン…
"怠惰"のベル…青髪に気だるそうな姿…ゆるゆるのТシャツを着たボイーン
ボイーン率高っ…ネームドの魔人ってこんなボイーン多いの?マジ?
「まぁ、宜しくな…」
俺はそんなことを思いながら、握手の手を差し出す…だが、帰ってきたのは…
「貴様…何をしている?頭が高いぞ?」
ルシファーは俺を手を払い除ける。
そしてゴミを見るような目で俺に淡々と告げる。
「貴様なんぞの下級魔族に握手するはずなかろう?ワシは自由にさせてもらうぞ!」
「賛成…面倒だし…命令聞きたくない…」
ルシファーとベルはその場から去ろうと歩き始める
「どうすれば言う事を聞く?」
俺は去る奴等の肩を掴む…次の刹那…俺の首が飛ぶ…斬られたのか…何かのスキルか…俺が斬られるなど理解できない…"使える駒"になりそうだ。
「ふん…雑魚め…相手にならん…」
ルシファーは振り返ることなく歩みを進める…が、俺は死んじゃいない…首が飛ぶ程度で死ぬ筈がないだろう。
「おいおい、話は終わってねぇぞ。雑魚め…」
「は?」
ここでルシファーとベルは初めて振り返る…驚愕していた…恐らく首が飛んで生きてる生物を見た事が無かったのだろう…
「悪いな…俺は"常識外"の魔族だ。」
俺は頭を拾い、首と頭を引っ付けながら話す…見た目はあまりにも異質なんだろうな…その場にいるヤツらは動けない…未知な生物に…俺に釘付けだ。
「おい、ルシファー…俺は面倒なことは嫌いだ。だから手っ取り早い方法で行くぞ…」
俺は抑えていた魔力を剥き出しにする…大気は乱れ、俺の周りに乱気流が発生する…もはや"天災"だな。
「殺し合いだ。どっちが生き残るかな?」
「"電磁砲 出力 大"」
俺は天に向かって片手を掲げる…すると、俺の掌に光が集まり出す、それは濃密に…分厚く…その場にいた3人は戦慄する…
すぐに考えたことは"どうやったら生き残れる" …そんなことだった。
「貴様は一体何者なんだ!?」
ルシファーは激昂しながら叫ぶ…彼女の目尻には涙が浮かんでいた…死ぬのが怖いのでは無い…格下と思っていた輩に無様に敗北する…そんなことが許せなかった…だから、彼女は聞いた…彼が何者かを…敗北するに値する相手なのかを…
…だが、無常かな…"最悪な答え"が放たれる…
「ただの中級魔人だ。じゃあな"下級魔人"。」
「貴様ァァァァァァァ!」
ルシファーが叫ぶと同時…俺は手を振り下ろした…集まった光は振り下ろすと一筋の光線となった地面を抉る…辺り一面…10平方kmは木っ端微塵に消え失せた…一部を除き…
「うっわ…エグイですね。死ぬところでした…」
サタンは大きい胸を撫で下ろす…彼女たちのいた地点だけは結界で無事だった。サタンは驚きながらも平静を保っている…ベルに至ってはもう死ぬように寝始めた…
「本当におかしな奴等だな…」
俺は溜め息を吐く…後処理面倒だぞ…こりゃ…
俺は溜め息を吐かす原因をじっと見つめる…
「あ…あぁ…」
原因…ルシファーは弱々しく乙女座りをし…下から黄金の液体を垂れ流す…王様のような豪華な服装もこれを見るともう威厳も感じない…
「エリーゼと言い…何故女は漏らすんだよ…」
俺は頭を悩ます…ホントこんな奴等を部下にしなくちゃならんのか…
1人は見た所普通だが、1人は俺以上は怠け者、1人は傲慢でビビるとお漏らしするダメ女…
俺は再度、溜め息を吐いた




