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第31話「命を賭けても」

血に染まる海…水面に転がる亡骸…

リヴァイアサンは敵をほぼ壊滅させた

だが、代償と言うべきか…彼女の腕はもげ、片目は潰れ、内蔵は損傷している。もう戦うことは不可能に近い…

だが、彼女は動いている…彼女の気力で体を突き動かしていた。

だが、その姿を見ても表情を変えない"6人"…

むしろ2名は笑いながら近寄ってくる…


「おいおい"漆黒"…もうこいつは虫の息だ。殺してやろうぜ。」


清潔な見た目の白い制服と正反対となる漆黒に染まるボサボサとした髪、月のように黄金に光る目…"漆黒"という男にサングラスの男は声をかける。


「いや、こいつの力を俺は奪う…だから殺すのは待ってくれると嬉しい。"山吹"と"蒼"頼んでもいいか。」


サングラスの男…"山吹"…黄色い髪に頬から肩にかけて刻まれている花形の刺青、黒く光るサングラスの裏から見せる海よりも青い目…白い制服の上に黄色のジャケットを着る男と"蒼"…海より深い紺色のロングの髪に空よりも澄んだ空色の目の女は"漆黒"の前に出る。


「"蒼天の管槍"」


「"雷鳴電装斬"」


突如として空から雲を斬り裂くような二筋の光が振ってくる…1つは青く光る槍、もう1つは剣の姿をした雷だ。

それらは全てリヴァイアサンに向かっている。


「こんなもの…"海市蜃楼"」


だが、言い切ったのと同時…彼女の体を青く光る槍と剣の姿をした雷が直撃する…彼女の体は縦に割れた…だが、彼女の中身は何も無かった…ここで2人は気づく…幻だと…彼女の姿をした幻は霧となって消えていく

辺りに霧を展開する…それは濃霧…至近距離でも目を離せば見失いそうな程…完全に彼女は姿を消した。


「"蒼"…風で霧を晴らせ…」


「分かってるわよ…"山吹"。"ブルー・ストーム"!」


突如、水面から風が巻き起こる…それはだんだん規模が大きくなり嵐となる…至る所に嵐は展開するが…霧は晴れない。

万事休す…そう思われた時だった…


「君達随分困ってるじゃん…」


1人の少女が"蒼"と"山吹"の背後から話しかける。

2人は驚きながらも平静を装い、振り返る。


「"琥珀"…てめぇの出番ってことでいいか?」


"山吹"は笑いながら話しかける…一方の"蒼"は自分には手の打ちようがないため頗る機嫌が悪い…


"琥珀"…その名の通り…白い制服よりも白い透き通った髪…白いに近い水色の目…大きな八重歯が特徴的な美少女…その彼女は姿を変える…体がどんどん大きくなってゆく…体からは鱗が生え、八重歯だった歯は牙に変わる…頭から2本の角が生えた。二足歩行から四足歩行の蜥蜴…背中に翼の生えた蜥蜴…龍の姿に変貌を遂げた。


「じゃあ、行ってくるね!」


彼女は翼を大きく動かし、一直線に飛んでいく…


「僕の見立てだとこれは蜃気楼…いや、幻影…恐らく認識阻害に特化した空間に変えた…だからやるべきことは…」


そこで彼女はリヴァイアサンの言葉を思い出す…


「"ルルイエは僕が守る"って言ってたかな?それだったらこれが最適解でしょ!」


そういうと彼女は大きく息を吸い込み、口から息を吐き出す…しかし、それはただの息では無い…

水面が凍り出す…冷気だ。彼女の息は冷気を帯びている…その息を至る所に吐き出し始めた。

上だったり下だったり東だったり西だったり永遠に吐き出す…そして、彼女は極限に集中して聴力を上げる…


「聞こえた…こっちだ。」


彼女は全力で一直線に飛び回る

彼女は聞こえたのだ…人間の声を…


「ここだ。」


彼女は何も無い所で止まる。

尻尾を振り上げ、声が聞こえている空間に叩き込む


ガッシャン


硝子のように何か砕け散ったと共に現れた。


「ちっ…こんなに早く破られるとは…」


尻尾を片手で受け止めるリヴァイアサンと船だ。

船には数名の人間が乗っている。


「なるほど…ホントに人間が大好きなんだね。」


「大好きじゃないよ。約束は守る派ってだけ。」


"琥珀"は大きく息を吸い込む。

リヴァイアサンはそれをみて瞬時に指示を出す。


「逃げて!!!」


だが、船の人間は呆然として動かない。

…"琥珀"が口を開く…彼女から繰り放たれた冷気をリヴァイアサンは受け止める…姿を変えて…

小さき人間の体だと"琥珀"の攻撃を受け止めることが出来なかった…船を守ることが出来なかった…彼女は瞬時に姿を変え、本来のリヴァイアサンとなる…だが、傷は治らない…目や内蔵は潰れたまんまだ。

そして、"琥珀"の冷気により、体が凍る…身体の動きを封じ込められた。

そこに飛んでくる追撃の"悪魔達"


「"琥珀"…ぐう有能だわ。」


「さぁ、息を目を止めましょ!」


"山吹"と"蒼"が魔法を唱える。


「""サンダーストーム""」


凍ったリヴァイアサンの体を中心に竜巻が展開し、空はいきなり曇り出す…

リヴァイアサンは悟る…"もう助からない"…

彼女は一か八かのギャンブルに出る。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


リヴァイアサンは雄叫びをあげる…と同時ルルイエを中心とした半透明の半球体が出現する。

"琥珀"は瞬時に察する…


「早く彼女を殺せ…結界だ。神獣の結界をルルイエに貼られる!」


"山吹"と"蒼"の顔が曇る…あくまで彼等の目的はルルイエを掌握すること…リヴァイアサンを殺すことでは無い。


「雷よ!!落ちろ!」


雷がリヴァイアサンに落ちようと天から降る…雷がリヴァイアサンに当たるまで…僅か0.8秒…

彼女は走馬灯を見た…


「僕は君達の神様でいられただろうか…」


彼女は白い空間に居た…リヴァイアサンは立ち上がり、歩き出す…すると壁や床、天上に思い出が写真のように張り付き始める…そして、ふと立ち止まる…


「あぁ、君達がいると言うことは僕は役目を果たしたのか…」


彼女の正面にいたのは笑顔で笑う人間達…リヴァイアサンを蘇生した人間達だった。


「ノア様…僕は役目を果たしました…フェンリル…フェニックス…みんな…後は頼んだ…」


…彼女達は徐々に塵となって消えていった…



"琥珀"は眺めていた…彼女は結界に手を当てる…しかし、弾かれる…入れない。

彼女の命を賭けた結界は成功した…

だが、結界は万全じゃない…数ヶ月したら切れるだろう。彼女はそんなことを思いながら下を向く。

船がルルイエへと戻っていた。

結界外…殺せる…だが


「"蒼"、"山吹"…帰ろうか…」


"琥珀"はリヴァイアサンの亡骸を運ぼうとする船を殺せる気にはなれなかった。

だが、2人は違う。


「はぁ?何言ってるの?人間が残ってるでしょ?殺しましょう。」


「あぁ、人間は皆殺しっしょ!」


"山吹"と"蒼"が構え始める…


「帰るぞ。貴様ら!」


神経毒が抜けた女…リーダーが指揮をとる。


「ちっ…」


2人ともリーダーには逆らえないのだろう。構えをとき、リーダーの女の元まで駆け寄る。


「"紅"…いや、"アリア"…ありがと。」


"琥珀"はリーダーの横を通り過ぎると小声でそう言った。

"紅"…黒髪ロングに赤く染まる目の女…そして"リヴァイアサンとサシで殺りあった女"…そして、"元勇者"である。

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