第21話「悪とは何か」
席に全員着くと、俺がアリアに対して疑問を投げかける。
「さて、どうしてアリアはパーティメンバーを俺に合わせたんだ?」
「それは…」
アリアが話そうとするところに魔法使いらしき風貌の女が割り込んで話し出す。
「私達から頼んだです。あの師匠と合わせてくれって…」
これは魔法使いから聞いた話だがアリアは巷で俺の事を『最強の魔族の師匠』と呼んでいるらしい。
俺は頭が痛くなったような気がして、額に手を押し付けた。 その様子を見たアリアはポカンとしている。
「で?俺は魔族だけど討伐するか?」
俺は奴等に問いかける。
すると大柄の男…剣士かな?
そのような風貌の男が喉元に剣を向けてきた。
「当たり前だ。魔族は悪!死に値する化け物だ!」
ワーオ、危険思想。僕泣いちゃうよ。
「うーん、悪は人それぞれ違うと思うんだけどなぁ…」
俺は持論を奴等に説く。
「悪は種族でなく、何かを成そうとする行為によると思うんだよね。だって犯罪者になる人間も入れば人を助ける魔族もいる。生物は皆それぞれだ。その考えだと君はいずれ壁にぶち当たるよ。」
やっぱりと言うべきか、アリア以外は共感していないのだろう。顔が一層険しくなる。
「そんな綺麗事あると思うか?」
斥候は剣士に続き、喉元に凶器を突きつける。
「私の父は魔族に殺された。無惨にな。串刺しにされた。」
「何処で死んだんだ?」
俺はふと気になり、聞いたら戦場という答えが帰ってきた。
馬鹿なのかこいつ。俺は堪えきれなくなり、大笑いを上げる。
「お前それ、戦場で戦士が死ぬのは当たり前だろうが!馬鹿かよ!」
斥候は激昂し、ナイフで俺の喉を掻っ切ろうと横一閃を放った。
だが、俺は化け物だ。ナイフなんて脆いものは一瞬でへし折れる。
「俺は殺せない。なんせバハムートと同格なんだからな。だからここにニーナがいる。監視役としてな。」
俺を殺せるのは…"神"のみだ。
俺の威圧に耐えれる程人間は強くない。
一瞬にして、奴等の筋肉は強ばり、冷や汗を垂れ流す。まるで滝のようにな。
剣士は本能的に悟った。
"こいつに逆らったら無惨に殺される"
奴は剣をしまうことに全力を注いだ。
そして、俺は平静に戻り、ティーポットから茶を注ぐ。
「この茶、上手いだろ。1杯でいいから飲んで帰れや。」
俺が雰囲気を変えるために陽気に話すが効果なし。
ニーナは俺を睨み、アリアは依然としてポカンとしている。
俺邪魔者になっちゃたな。
俺は2階へ行こうとソファから立ち上がる。
…アリアとニーナ以外はビビり、咄嗟に武器を構える。
俺はその姿があまりにも滑稽で笑いそうになるが、ニーナの一言で真顔に戻る。
「アンタ、あまりやり過ぎると面倒臭いことを起こすわよ。」
"面倒臭い"
俺を脅すには十分過ぎる言葉だった。
俺はそそくさと2階へ上がる。
1階のことはニーナに任せよう。
俺は問題児の元へ歩みを進めるのだった。




