第2話「生誕」
俺の意識は再度暗転した。
…
目を覚ますと俺は荒れた大地に立っていた。
「おお!ここが異世界?」
俺は辺りを見渡す。
そこには血が染み付いた地図と壊れた荷馬車があった。
ここで戦闘でもあったのかなぁ?
見た感じ時間は立ってなさそうだけどなぁ…勘だけど…ね。
「まぁ、とりあえず地理は把握しますかねぇ。」
俺は血塗れの地図を拾う。
まだ暖かい、やっぱ襲撃されたから時間が経ってないな。
「なるほど…ここはアルリタ帝国と魔族領の国境付近の土地なのか。」
すると地図が光に包まれ、俺の前に文字が現れる。
東の帝国のアルリタ帝国、ここは魔族領と接しているため、兵力に力を入れており、代々勇者パーティと称した魔王討伐隊を100年おきに魔族領に送り込んでいる。
魔族領、アルリタ帝国のさらに東、最東端に位置する。魔族領の魔王城付近以外は土地は痩せこけて、木も生えず、動物もいない。しかし、魔族領の大半は魔力を生命力に変える魔人であるため、さほど問題は無いようだ。
「なるほどこれが鑑定のスキルか…」
地図を見ただけでこれほどの情報量を得れるとはな…
鑑定スキルに感心していると
「オマエ、ダレダ?」
背後から誰かに声をかけられる
俺が振り抜くと青色の人間が腕を組み、立っていた
「オマエ、ニンゲンカ?」
鑑定!
下級魔人、知能は著しく低く 、魔力以外は大したことは無い。
「…下級魔人か、知能はそこまで高くないんだね。」
俺は質問を無視し、鑑定結果に独り言を返していると相手はいきなり激昂し、俺に飛びついた。
「バカニスルナ!」
おお!馬鹿にされたと分かる知能はあるのな?あれかな?ニュアンスで分かるのかな?
相手は強烈なキックを顔めがけ、お見舞いする。
食らったら顔が吹き飛ぶだろうな。
だが
「俺のステータスとお前のステータスとでは天と地ほどの差があるんだよ!」
俺は魔力を拳に込めながら、奴の蹴りを寸前で回避する。
そして、カウンターと言わんばかりに奴の顔面に魔力を込めた拳を繰り出した。
グシャ
奴の顔面は吹き飛び、残った首から下は光となって散っていった。
レベルアップ
突然この文字が頭に浮かび、頭が痛くなる。
俺は頭を押さえながら、原因を探ろうとステータスプレートを表示し、確認する。
…何処にも異常はない。
どういうことだ?これはレベルアップ時に発生するものなのか?
そうこう考えてるうちに頭痛は治まった。
「これは検証だな。」
そう、検証が必要だ。いつも頭が痛くなっていると困るからな。
…そこからは仮説『レベルアップで頭が痛くなる』を検証するため、飽きるまで戦闘し、飽きたら自然観光や建てた家でアニメを見るという生活を送っていた。いや、やっぱり働かないって神だな。家やテレビだって創造魔法で作れたし、マジでなんでもできるな。
…頭痛の痛みを忘れていた頃、俺は大事なことに気付いた。
俺は両膝をつき、頭を抱える。
「もうレベルアップしないじゃん!」
もはや辺りの魔族では経験値にならないのだ。
その証拠に同じ下級魔族なのに俺と他のやつではステータスに100倍以上の差がある。
そして、俺はまた大事なことに気付いた。
「もう頭痛もないし、検証のこと考えなくてよくね?」
もう自身を害する痛みは無い。気にする必要性がないのだ。
「まぁ、ゆっくり過ごせばいいや。」
俺は悩みのタネも無くなり、寝ようとした、その時。
「嫌な予感がする。」
第六感が俺に訴えかける。
俺は無視できず、チラっと窓から外を見ると
「…ハハハ…嘘だろ?」
ドラゴンがこちらを見ていた。