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第13話「俺はヒーローじゃない。」

"サノラ村が襲撃を受けている"

その言葉は俺の想像したものだった。

…俺の勘が正しければ

「神獣襲撃とサノラ村襲撃はリンクしている。」

俺はそう呟くと倒れたフェンリルの頭を鷲掴みし、唱える。

"記憶複写"

するとフェンリルの記憶が俺の脳を駆け回る。

それからノイズを削除し…見つけた、これだ。

金髪の男とフードを被った人達がフェンリルを取り囲んでいる。

金髪の男が何か魔法をかけるとその場から何人か引き連れて立ち去り、フードを被った人2人で何かの魔法をかけている。

記憶はここで途切れている…

恐らく1つは洗脳魔法…これは確定

だが、もう1つの魔法は不明だ。

もし、黒幕が俺を殺そうとして動いている場合、警戒必須になる…めんどくさ。

フェンリルの頭から手を離すとニーナが俺の目の前まで来る。

「ねぇ、お願い。魔族撃退を手伝って!」

…俺は人間になんて死んでも関わるつもりはねぇぞ。

「なぁ?俺が人間側に肩入れしたらどうなるか分かるか?」

俺はニーナに問う、ニーナはある程度察しはつくのだろう、目線を逸らし、歯を噛み締める。

「俺が人間側についたら、魔族の余裕はなくなるだろう。実際、人間側につかないためにコルンを定期的に来させてたぐらいだからな。」

ニーナは手を握りしめる。

「俺が介入したら、間違いなく全面戦争確定だろうな。魔族か人間のどちらかが滅ぶまで続く戦争に…」

俺が話を遮るためか、ニーナが俺の胸ぐらを掴む。

「…そんな理屈分かってるのよ!」

ニーナは泣きながら大粒の涙を流す。

「けど!サノラ村の人間は今も1人…また1人と死んでいる!私の事を英雄と慕ってくれる子供達まで!全員を助けたいの!」

ニーナの胸ぐらを掴む力はだんだんと弱くなる。

俺は溜め息を吐きながら、無情にも告げる。

「…だからどうした?」

俺は冷たい視線を目の前にいるニーナに向ける。

「俺はどこで誰が死のうが生活に支障をきたすことがなければどうでもいい。俺は英雄でも勇者でもないんだ。分かったらその手を離せよ。英雄ニーナ様。」

自分に降りかかる災害は必死に抵抗しよう。

だが、他人を災害から救う必要性がない。メリットがない。そんなことは自意識過剰のスーパーヒーローがやればいい。 俺はヒーローじゃない。

…俺はヒーローにならない…なれない。

俺は強引にニーナの胸ぐらを掴んだ手を突っぱねる。

そうして、踵を返す。

すると、そこには魔王軍十二大魔将『毒蟲』のコルンが立っていた。

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