第11話「呪縛と洗脳と」
数刻が過ぎた…
戦況は圧倒的に俺らが有利だった。
「で…もう諦めたらどうだ?」
ボロボロな奴等に諦めるよう促す。
「ふざけるな…このフェンリルが諦める筈がない!」
「あまり神獣を舐めない方が宜しいですよ。」
「…負けてくれても良くない?」
折れる気も無いのか…俺はどうしようかと頭を悩ませていた… その時
「眩しい…朝か…」
日が昇る。太陽が俺達を包み込んだ。
それが合図と言わんばかりに神獣は反撃を開始する。
俺は奴等に併せ、魔法陣を展開した。
…
その頃、魔王城の城壁付近。
大量の兵士達が隊列を成し、指揮官の方を真っ直ぐ向いている。
指揮官は四天王、『操獣』のケルビン。
彼の目には涙が浮かんでいた。
…
遂に私は魔族と人間との戦争を終結させ、魔族に勝利をもたらすことができる。
思えば長かった…我等魔族は何千年という永久の時とも思える時間…人間に…勇者に苦汁を嘗めさせらてきた。
そんな世界ともおさらばだ。
いつだろうか…私は神との通信に成功した。
正直、最初は神など信じていなかった…わたしは何より非科学的なことが嫌いなのだ。
だが、あの時…私は確かに天界へ飛んだ。
私はいつも通りに眠り、いつものように起きる。
そこは大きな庭園だった。
私は現状を知るため、庭園を歩き回る。
すると小さな開放的な建物…四阿という建物に金髪の男が座っていた。
「どうぞ、座って。」
普段なら警戒するが、何故かその時はここが心地よくて…抵抗する気など起きず、座ってしまった。
「それで、君は勇者が嫌いなんだよね?」
金髪の男がいきなり切り出す。
私は何故かその男を信用し、勇者への恨みを話す。
すると金髪の男が私に教えてくれた。
「なら勇者を殺せばいい…勇者はサノラ村にいるからね。」
私は耳を疑った…サノラ村…そこに勇者がいるのならば私達の情報網から外れるはずがない。
だが、金髪の男は言った。
「今、勇者は覚醒前の状況だ。君達の目から見れば分からないだろう。けど、私には分かる。」
何を言ってるんだ。そう思いながらもあの男の言う事を信じれずには居られなくなる。
「勇者アリア…それが君の殺すべき相手…忘れないようにね。」
獣の本能で察したのだろう。この男の言う事が正しいのだと…これは非科学的で私の大嫌いなモノだ。
しかし、私は非科学的で私の大嫌いな"憶測"というものを信じるしかない。
"勇者を殺すこと…それが私の指名なのだから"
…
さて、進軍を始めよう。
「全軍、サノラ村に向かって進軍開始!」
"私は勇者を殺さなければならない"




