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第五話 白百合の芽吹き①
ストーカー神来襲の夜、ジャンヌは自宅の洗面所にて。ランから借りたハンカチを手洗いしていた。
「……よし。これで、今から干しておけば明日には乾くよね」
早めに起きて、アイロンを掛けて。お昼に、ランちゃんに返そう……そう思いながら、洗剤の香りが立つ濡れた白のハンカチを見つめていると。
“――辛くて苦しくて、助けが欲しい時には私が助けます”
本日の彼女の事が、脳裏に蘇る。
“――何があっても、どんな邪魔が入っても。絶対に、ジャンヌさんを助けに駆け付けますから”
(そんな言葉、前世で女だった時にも言われた事無いのに……)
“――ジャンヌさん、立派な可愛い女の子じゃないですか”
笑みを携えて、真っ直ぐに告げられた台詞に。ジャンヌは一人、頬を赤に染め上げるのだった。