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第三話 姫椿の毒気⑧
――ランちゃん、大丈夫かな……。
マリに教えられた(まんまと嵌められた)校舎裏へと駆けながら、ジャンヌはそう心配を募らせる。
「ジャンヌ~!」
すると、校舎を仕切る外壁から。ある人物が飛び出して来る。
「えっ、ジル!?」
と、驚くジャンヌに。ジルが、飛び付こうと迫って来る……が。
「接近禁止だ変態」
と、ケルベロスの右の首がジルの頭に圧し掛かり。飛びつくのを阻止。
「ど、どうして貴方達が?」
「さっき、この学校で悪魔の魔力を感じた」
ジャンヌの表情が驚愕に染まった。
「どうやら、此処に。オイラ達の追っている悪魔が居るみたいだな」
「……っぱり」
ケルベロスの右の首は、か細く紡がれたジャンヌの声に不思議そうな表情で顔を向ける。
「聖女サマ?」
「ジャンヌ、どうし……」
心配気にジャンヌを覗き込む悪魔と魔犬。すると、ジャンヌは突然勢い良く顔を上げ。
「やっぱり、フラグ確立させたんだぁぁぁ!!」
と、叫び出す。
そして、唖然とするジルとケルベロスの右の首を残し。大慌てで、全力疾走で再び駆け出すのであった。