探索-1
両脇に家が立ち並ぶ道を歩く。
こんなに家があるというのに人の気配がないというのは気味が悪い。
今にも沈みそうな夕日だというのに落ちる気配はなく、周囲は依然として赤く染まったままだった。
ここに来るのは初めてだが、似たような場所へはこれまで何度か来ていた。
いつもどこかを目指しているのにたどり着けない。
時には穴に落ち、時には体に急な衝撃を受け、時には高いところから落ちて命を落とす。
そして気が付けば自室のベッドの上だった。
いつもあまりのリアルさに、夢だと気が付くまでに時間がかかるほど。
そして毎回何かがなくなっていた。
例えばお気に入りのぬいぐるみやキーホルダー。
例えばいつも持ち歩いていたお守り。
例えば―妹の声。
一晩寝ていただけの妹の声が急に出なくなったときに初めて自身に起こっていることが異常事態だと悟った。
もう失敗はできない。
何をすればいいのか、どこへ行けばいいのか分からない。
だがたどり着かねばならない。
もう失えないのだ。失うものは自分のものではないのだから。
いくらか歩くと微かに声が聞こえてきた。
子どもが笑ったり楽しげに叫んだりしているようだ。公園が近いのだろう。
自然と足の歩みが早くなる。
右手に木々が生い茂っているのが見えてきた。
聞こえている声も大きくなっている。どうやらここが公園らしい。
木々に視界を遮られて公園内は見えないが、随分と多くの子どもが遊んでいるのが伺われた。
賑やかな声に『僕』もつられて笑顔になる。
やっと人に会えるということも相まって緊張もほぐれつつあった。
なのに。
公園の入口にさしかかった瞬間、水を打ったように静かになる。
あんなにたくさんの走り回っていた気配も一瞬にして消えていた。
思わず『僕』の足は竦んだ。