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73/114

73 先祖 4

売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。

そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。

旅も佳境に入り、ノブは神蒼玉(ゴッドサファイア)を残したレイシェルの先祖・ダイザックの記録を上映する。

だがその途中、新たな敵が襲ってきた――。

 マスターフルヘルムの乗るSテンタクルラフレシアが強力なビームで攻撃してくる。

 その下を潜るかのように、地面に貼りついて駆け寄ってくる改造魔虫ピレスロイデスの群れ。

 それはレイシェル達を呑み込み、蹂躙しようとしていた。


 だが上空から群れの前に、巨大な竜戦士が降り立つ!

『させん!』

 言いながらザウルライガーは体当たり同然に虫の群れへぶつかった。

 30mを超える巨体も、無数の虫にたかられ、埋め尽くされる‥‥。


 が、ドリルの駆動音と噴き出る炎が虫の群れを突き破った!

 そして次々と吹き飛び、宙で四散する改造魔虫。

 全身に虫の歯形が刻み込まれようと、ザウルライガーは怯む事なく片っ端から虫どもを叩き潰す!

 虫の群れによる死の絨毯は、内側から粉砕されていくのみ。


 多対一は力劣る物が勝つための定石である。

 だがある程度の力に至らなければ、今のザウルライガーにはもはや根本的に通じないのだ‥‥!


『ぬう、デカブツめ。ならば!』

 忌々し気に歯軋りすると、マスターフルヘルムは何やらモニターを操作した。

 すると虫の動きが目に見えて変わる。

 ライガーに食らいついている物を残し、他は離れて別の方向へ走った。


 その行く先は――クラゲ艦Cオーウォー!


『わ、わ、こっちに来る!』

 焦るオーガーハーフエルフのエリカ。

 彼女の腕では多数を相手にするのは難しい。艦にはHP回復能力があるが、装甲自体はさほど頑強ではないので、多数に攻撃を受け続けるのは危険だ。


 そこへノブから指示が飛ぶ。

『落ち着け。少し下がって川に入るんだ』

『あ、うん』

 急いで後退するエリカ。

 後ろの川とは――


 今いる台地状の岩山の切り立った崖下、何十メートルも降りた所にある川である。

 流れは緩やかだが、それでも落ちれば量産型のケイオス・ウォリアーなら全壊だろう。


 まぁ浮遊できる艦には関係ない事だ。

 ふわふわと崖下へ落ちて行き、緩やかに着水。

 流されないように何個かの大岩へ触手を巻き付ける。


 虫どもは主人の命令どおり、艦を追う。

 となると垂直の崖を降りていく事になる。

 しかし降りたら降りたで川に阻まれ、下手に踏み込めば溺れるのみ。そして悲しいかな、虫どもは頭がいいわけではないので――というより知能らしい物は無いので――次々と無様に水の中でもがくのだ。


 そんな虫を一匹ずつ、触手で叩くCオーウォー。

 水適応AとC以下の差は大きかった。


 ついでに崖を降りる途中の虫や、崖の上にいる虫も触手で叩いた。

 触手伸びるから。


「え‥‥結構届くんですのね‥‥」

『戦闘MAPで見れば隣接しているからな』

 驚くレイシェルへ当然のように言うノブ。

 どうやら合法のようだ。


『ええい、ならば!』

 物凄く苛々しながら、再度命令を変更するマスターフルヘルム。

 虫の群れは一部を残してさらに方向を変え、今度はレイシェル機とノブ機へ迫った。


 二機とも優秀な回避能力を誇るが、四方から殺到されては限度がある。

 今度はレイシェル機が虫の群れに埋め尽くされた!


『お嬢!』

 ジルコニアが呼び掛けるも、レイシェルから届くのは悲鳴のみ‥‥。



 衝撃で揺さぶられる操縦席の中、ダメージ表示が次々と重なるモニターを前に、レイシェルは絶望的な思いで足掻いていた。

(ここまでですの? 後もう一歩の所まで来て‥‥終わる‥‥)


 脳裏に浮かぶ数々の光景。

 実家、両親、今は亡き愛しき兄、かつての魔法騎士団。

 ノブとの出会い。これまでの旅路。仲間達。


(終わる‥‥事は‥‥絶対に‥‥受入れませんわ!)


 なぜだろう。先祖ダイザックの真の姿が浮かんだ。



 虫の群れから銀の影が跳び出した!

 ボロボロに破損したSエストックナイトである。

 無論、虫どもはトドメをさそうと再び殺到するが――


 ナイトはそれらの顎を次々と避けた!

 さらに一撃ごとに、己も確実に反撃して見せる。

 避けながら低姿勢の敵へと繰り返すその反撃は、全く外す事無くことごとく虫を捉えた!

 敵を剣が貫き、魔術の炎が燃え上がらせる。


『なにィ!? あのスピード! あのパワー! さっきよりも数段上!?』

 驚愕する敵親衛隊。

 艦でエリカも目を点にしていた。

『どうして? あの状態で凄い強さだ‥‥』

『あの状態だからだ。モニターを見ろ』

 ノブが自らモニターを見つつ言う。

 レイシェルもこれまでの戦いで幾多の敵を撃破し、エースボーナスを獲得したのだ。



エースボーナス:【底力】レベルが9になる。



 危機に陥ったレイシェルだが、その眼光は熱く、いからせた肩からは闘気が漏れるようである。

 その後ろで演算補助を行うファティマンのシランガナーは、入力される操作指示を処理するのに己の全能力を必死に発揮せなばならなかった。

 シランガナーが無機質な体に滝のような汗を流している前でレイシェルが叫ぶ。


「お見さらせー! これがクイン家の根性ですわー!」


 シランガナーはその背に、映像記録で見た240年前の英雄騎士ダイザックを重ねた。

 そうせざるを得なかった。


 虫がまた一匹、急所をブチ抜かれて四散した。

『おお‥‥クリティカルヒット」

 感心するジルコニア。


 ノブは敵親衛隊に言い放つ。

『どうやら先が見えたな』

『ほざけ!』

 怒鳴りながらマスターフルヘルムはノブ機へビームを放った。

 ムーンシャドゥにも虫が殺到するこの状況下、避けられる物ではなかった――


――筈だった。

 だがシャドゥは素早い跳躍を繰り返し、虫の牙も光線も見事に避ける!


『なにィ!? さっきは当たった攻撃が、なぜ!?』

 驚愕するフルヘルム。

 対して落ち着いたノブ。

『なぜわからない。パーティのメンバーが次々とエースボーナスに開眼している中、僕がそこに至っていないと思ったか』


 モニターに映る、ノブのエースボーナスとは――



エースボーナス:【SP回復】スキルの回復量+5。



『僕は命中率・回避率を30%上げる【コンセントレーション】を習得している。効果を増したSP回復力があれば、これの消費を回復量で帳消しにし‥‥実質無消費で使い続ける事が可能だ』

 言いながら反撃を虫に見舞い続けるノブ。

 シャドゥのエルボートリガーが次々と虫を切り裂き、砕く。

『付け加えるなら、僕らの機体は全て7段階目まで改造を進めている。お前達の倉庫にあった資材も有効に使わせてもらった』


 異界流(ケイオス)、【超能力】スキル、スピリットコマンド【コンセントレーション】。三重の補正が高段階改造した運動性に加わり、もはや虫どもとは動きの次元が違った。


『見えるぞ‥‥貴様らの悪意の行く先が』

 言いつつノブは虫を叩き潰す。

 敵が動くより先に回避を始め、敵が動いた時には反撃を当てている。

 差し挟まれる親衛隊機からのビーム砲撃さえ、それを捉える事も止める事もできなかった。


『ぬう! 我がピレスロイデス達が‥‥!』

 マスターフルヘルムが呻く。

 最後の虫をシャドゥのエルボートリガーが撃破するのを見つつ。

 そしてノブは言う。

『僕は最強の霊能者(サイオニック)だ』

・現時点でのノブ達の機体性能

改造段階・7



Eムーンシャドゥ

HP:7750 EN:270 装甲:2290 運動:148 照準:187

格 エルボートリガー 攻撃4550 射程P1―2

射 サイコビーム   攻撃4750 射程1―6

格 レッグトリガー  攻撃5250 射程P1―2

格 魔王剣      攻撃5750 射程P1―2



Sエストックナイト

HP:7250 EN:270 装甲:2090 運動:148 照準:187

格 シルバーエストック 攻撃3750 射程P1―2

射 エナジーブラスト  攻撃4250 射程1―5

射 ディープフリーズ  攻撃4500 射程1―6

格 スピンストーム   攻撃5350 射程P1―2



ザウルライガー

HP:8950 EN:280 装甲:2320 運動:128 照準:187

射 ハンドマシンガン 攻撃4050 射程P1―4

格 ザウラータックル 攻撃4850 射程P1―2

射 ザウルファイヤー 攻撃5250 射程1―6

格 ドリルフィーバー 攻撃6050 射程P1―2



Cオーウォー

HP:17500 EN:305 装甲:1690 運動:105 照準:187

射 ニ-ドル砲 攻撃4250 射程2―6

格 触手    攻撃4750 射程P1―3



上記数値に装備したアイテムの修正が加わる

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