67 潜伏 6
売国奴として討たれた兄のせいで騎士団から追放された令嬢騎士レイシェル。
そんな彼女の前に最強を自負する転生者にして霊能者・ノブが現れ、秘宝探索の旅へと誘う。
道中で数々の仲間を加える二人だが、最強の敵、黄金級機が現れた上、敵同士の内輪もめまで始まった。
絶体絶命の危機から行方をなんとか脱出した一行。
救助した元敵将軍の案内で敵の倉庫へ着いたが、そこにも敵が攻めて来たのだった――。
『ええい、一機も落とせず負けおって』
仰向けに倒れて動けないグスタ機を見て、艦内で歯がみするマスターギル。
『自分は後ろで見てるだけなのに! 偉そうに言うな!』
オーガーハーフエルフのエリカが言うと、ギルの飛行艦Cボーンドムササビが前進し始めた。
『いいだろう。陸戦大隊最強の親衛隊マスターギルの力、貴様らを闇に還してやろう!』
黒いボディを覆う白い装甲。その下部が開き、骨片を思わせる弾が前方へ雨あられと発射される。
それはノブ達がいる辺りに着弾し、無数の火柱となった!
さらには艦周辺の鳥獣人型量産機Bボウクロウが矢を放つ。
それを必死に避けるレイシェル達。
『この空爆の威力! 手も足も出まい!』
勝ち誇るマスターギルの声が響く。
「陸戦大隊なのに空中からの爆撃で戦いますのね‥‥」
『陸戦大隊なのに空をも制覇したから私は最強なのだ!』
レイシェルの呟きにも居丈高なマスターギル。
『陸はいつ制覇すんだよ』
『地上に降ろそうという姑息な挑発だな。その手には乗らん!』
エリカの疑問も強気で却下するマスターギル。
敵の攻撃に右往左往するクラゲ艦の中、ゴーズは『チッ』と舌打した。
『俺にも機体があればな』
倉庫の中に資材は豊富に残されていた。
だが修理すれば動くようなケイオス・ウォリアーは一機も無かったのだ。
だがそこへ通信機から届く声が!
『お待たせしました!』
倉庫から飛び出してくるドリル戦車。それは勇者ライガー!
「ドリルライガー!」
レイシェルの嬉しそうな声。ノブも安心して呟く。
『エネルギーの補給は終わったようだな』
一方、マスターギルはモニターに映るドリル戦車を見ても全く恐れていなかった。
『あんな小型の陸上機に何ができる‥‥』
しかしライガーは叫ぶ。
『タイタンケラトス!』
その声に応じ、大きな咆哮が響き渡った。
にわかに暗雲が立ち籠り、倉庫から巨大な恐竜が走り出る。
それは装甲で覆われた、人造のトリケラトプス!
『フォームアップ!』
ライガーの声に合わせ、人造恐竜は変形した。
前足・後足がボディに収納される。
後ろ半身は二つに分かれ、腿が伸び、二本の足に。
前半身は腰と下半身に。
頭部は胸に。
そしてドリルライガーは二つに分離し、大きな両腕となった。
両腕は恐竜の変化したボディにドッキング!
同時に兜を被った騎士のごとき頭部がボディから出現!
両目が輝き、口はフェイスガードで覆われている。
『巨竜合体! ザウルライガー!』
変形合体したライガーの声が雄々しく響いた!
「え? え? え?」
ちょっとついていけないレイシェル。
『本人と相談した結果、合体機能があるなら合体相手を造ればいいのでは‥‥となってな。ドリルライガーは両腕になれるので、それ以外の部位になるドッキングメカを造った』
冷静にノブが説明した。
ザウルライガーは両手の拳を握りしめ、その力を実感する。
『このパワー‥‥故郷の兄弟達との合体に勝るとも劣らない!』
エネルギーが足りないなら、なぜノブのスピリットコマンドで補給しなかったのか。
対象が戦闘ユニット登録されていない合体用メカだったからである。
しかし今や新武装は機能し、ライガーは新たな力を手に入れた!
『よーし、いっけー!』
エリカが叫ぶや、ライガーは走り出した。
『応!』
勢いよく、空中に。
空気を蹴って空へと走る。
『なにぃ!? どう見ても地上戦する機体だろうが?』
驚愕するマスターギル。
その目の前で、ザウルライガーはボウクロウの群れへと空中を走り込んだ。
先頭にいた敵機へ、30mを超える巨体のタックルがブチかまされる!
景気良く吹っ飛ぶ敵量産機!
慌ててボウクロウ達からの矢がザウルライガーへ降り注いだ。
だが矢の雨の中、ライガーはビクともしない。
近くの敵へはタックルを仕掛け、離れた敵へはマシンガンを撃ち、さらに胸の竜の口から熱線ブレスを撃って敵機を焼く!
レイシェル達が次に避けるのは、敵からの射撃ではなく、墜落する敵機となった。
空中で敵機を蹴散らすライガーを見上げながらノブが解説する。
『以前からの本人の希望通り、飛行用の強化パーツ【フライトアジャスターS】を装備させてある。あのパーツは機体・武器ともに空適応がSになるから、今のザウルライガーは適応Aの地上戦より空中戦の方が得意だ』
「ええ‥‥」
微妙に納得いかないレイシェル。
だがちゃんと仕様を守った正しい戦法なのだ。
さらに、モニターに表示されるライガーの戦意が最高値に達している事にも気づく。
「なんだか急激にパワーが上がっていません?」
それにも冷静に説明するノブ。
『エースボーナスによる物だ。ライガーは仲間になる前から戦っていたし、加入直後から多数の雑兵を引き受けてもらっていたから、既に撃墜数が60を超えていた』
そのエースボーナスとは――
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エースボーナス:被弾時の気力増加+3。
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『今までの獲得分と僕の周回持ち越し分から【戦意+(DEF)】スキルも習得してもらっている。今のライガーはかすり傷一つ被弾しただけで敵一機撃墜したぐらい戦意が上がるぞ。さっき敵の群れに突っ込んでショボい攻撃を跳ね返しまくったから既に戦意はMAX、パワーは全開だな』
ノブが冷静に説明する。
丁度その頃、最後の敵量産機がタックルでブチ壊されて落ちて来た。
『付け加えるなら、貯めた資金も少しずつ崩して僕らの機体の強化改造も進めている。既に全機6段階改造を施してあるぞ。当然、攻防ともに今まで以上の強さという事だ』
「え? いつの間に!?」
ノブの冷静で細やかな心遣いに驚くレイシェル。
もちろん、レイシェルが鍋で米を炊くスキルを鍛えている間にである。
もはや残るは飛行艦一隻のみ。
『ぬう! ならば空に上がった事を後悔させるまで! この艦の最強武器は近接格闘なのだ!』
ヘルの怒声とともにムササビ艦はライガーへと突撃した。
その両翼を広げ、ライガーの巨体を包むと渾身の力で締め付ける!
これがこの艦最強武器・ムササビヘルハッグなのだ。
だが最強武器が近接格闘なのは、ザウルライガーも同じだった。
強烈な衝撃で揺さぶられ、ボーンドムササビが火を吹いた。
その翼が破られてこじ開けられる。
ボディにも無残な穴が開き、火花が舞っていた。
ザウルライガーは両肩のドリルを外し、両手に持っている。
胸の竜の三本角も高速で回転していた。
これは「合体しても地中に潜れるように」とノブが付けていた機能なのだが、岩盤を砕けるドリルで敵の装甲を砕いてはいけないという法律はインタセクシルには無い。
『ドリルフィーバー!』
最強武装の名を叫ぶザウルライガーの、五つのドリルが、己より巨大な艦を容易くブチ抜く!
胴体の真ん中を粉々にされ、仰け反るような姿勢になった後、ムササビ艦は大空で爆発した。
クラゲ艦の中でエリカがガッツポーズをとった。
『やった! 強え!』
設定解説
・ザウルライガー
強化用機・タイタンケラトスとドリルライガーが合体して完成する新形態。
タイタンケラトスはインタセクシルに生息する角竜の一種の屍を主な素材に、ライガーからの情報とデータを元にノブとエリカ達が造り上げた。ドリルライガーの召喚で格納庫から出撃するが、妨害する物を排除する程度の戦闘プログラムしかインプットされておらず、単体での戦闘力はそのパワーに比べて低い。
半面、出力と装甲強度は可能な限り高くしており、合体後の戦闘力はこれまでとは別次元にある。
ドリルライガーが変形した両腕に合わせて体格を造っているため、身長は30mに達し、ケイオス・ウォリアーとは人間と熊以上の差がある。「1Lサイズ」の体格は攻防両面をさらに補助し、並の量産機では力で抗する事は不可能。
なおこの形態でも依然地中移動能力は残っている。
基礎ステータス(強化改造や装備するアイテムにより、この数値は変化する)
HP:6500 EN:210 装甲:1900 運動:100 照準:145
射 ハンドマシンガン 攻撃3300 射程P1―4
格 ザウラータックル 攻撃4100 射程P1―2
射 ザウルファイヤー 攻撃4500 射程1―6
格 ドリルフィーバー 攻撃5300 射程P1―2




