飛翔する列車
列車が動き出した。 線路を破壊し、上空へと飛ぶ。 深夜0時、怪異の時間は始まった。
列車は次々と上空へ向かう、いつから怪異へと変化していたのだろう。
神器を操るものを殺さなければいけない、本能が列車へと命令している。
図書館で一匹、辺境で一匹、既に狩られた。 所有者が気づいていない今のうちに、殺しておくのが一番良い。
飛翔する列車に向かって何が飛んでくる。 戦闘機だ。 [怪異対策庁直属 flyF]
列車へとミサイルが発射された。
一発目は直撃、大ダメージを負った列車は、変形を開始する。 本来の姿へと。 ぐにゃり、と空間が曲がり、列車はグロテスクなエイへと変わっていた。
二発目のミサイルはエイの翼に狙いをつけて発射された。 エイは小規模の竜巻を発生させ、ミサイルを防いだ。
flyFは機体を下降させ、エイの裏側を機関銃で攻撃する。 エイに攻撃を防ぐ手段はもうない、ダメ押しのミサイルを撃ち込まれ、エイはもう、動かない。
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flyFは本部に怪異処理完了の連絡を入れ、基地へと帰還する。
「怪異の質が明らかに上昇している。 神器を持つものを探さなければ、抑えきれない。」
一人でそう考えると、自室で調査を開始した。
阿波多良29は、山下という青年が怪しいと睨んでいたが、周辺関係まではまだ調べられていなかった。
「まずはそこから、だな。」