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the 転生

木がしなる音がする。


「よ~し。」


弓で矢を引く音だ。


狙うは野鳥、少しふっくらした飛んでいる野鳥だ。


弓を引いている少女は澄んだ声で言う。


「ようやく弓矢の制度が上がってきたんだ。今日は自分の矢で射抜いた鳥のまるやきだ。」


そう思うと想像しただけでよだれが垂れてきてしまう。


左目をつぶって限界までしぼる。


・・・・・・・・今!。


矢をつかんでいた指を放すと、矢は低い弾道で野鳥に向かって飛んで行く。


これは当たったな。


そう少女が思った刹那、矢の横を横切り、矢が野鳥に到達する前に紫色のビームが射抜いてしまった。


啞然とする少女。


人差指からレーザーを打った男は真顔で少女の横に立っていた。


「~このクソ元魔王があ、なんで指からレーザー打ってんだ!。」


「すまない元勇者、外すと思って指さしたら出ちゃった。」


「な・ん・で・だ・よ!。仮にも元魔王だろうが、転生したからと言って基本スぺック変わってないんだからお前の魔眼はなまってねえだろうが!!。」


「悪いと思っているが、後悔も反省もしてない。」


「ああ、なんでこの魔王は・・・。」


18年前


俺は日本で生まれたごく普通の目立たなくてようつべの広告みたいな文字通りの高校生だった。


そしたらパン加えて登校したらあら不思議、足元に魔法陣が!。


目を一回閉じて開いたらそこはもう王様の玉座の前だった。


「おお!そなたが勇者か、ずいぶん普通な身なりだな。」


今思うけどこの馬鹿王様野郎めちゃくちゃ失礼だな。


とまあ、成り行きで三年、なろう系異世界最強系主人公みたいな敷かれたレールを歩いているような感じで四天王を倒して魔王城まで行き、魔王を倒す一歩まできた。


「ハアハア、魔王が女だなんて知らなかった。」


「私も勇者がこんなショタとはしらなかったな。」


「俺は今年で21歳だ、目でも悪いのか!、お前だって見た感じ20代後半だろう。」


「私はこう見えても100は軽く超えている。」


え?、100歳越え!?。


勇者はかろうじて動揺から抜け出し、聖剣セレクターを魔王の首にあてて話す。


「しーつもーん、どうせ殺されるなら一つ聞きたいんだが。」


「いいだろう、聞いてやる。」


するとセレクターを両手で持ち、構える。


魔王が話し終えたら勇者は殺す気だ。


「お前はこの聖剣に私の血を吸わせて何を願うんだ?。」


「人々の幸せだ。魔王という脅威を取り除けばみんなが幸せになれる。」


「そう簡単にいくと思うか?、ハハハッ滑稽だな勇者すこし、いやかなりがっかりしたよ。」


「何!?。」


魔王は首をすこし動かして笑ったので首筋から血が流れる。


「私を殺したところで世界中の人類が幸せになるわけじゃない、黒は白にならないんだよ。」


「いや、なれる、人間は変われる生き物なんだ!。」


こいつに何言っても無駄だな、まずこの勇者は人間しか見ていない。


改心を試みた魔王だったが頭が固すぎる、勇者に何を言っても通じないことを悟り、最後に大きなため息を吐いて告げた。


「まあ、大体のお前が辿る道がわかるが話すのも疲れた、殺せ。」


急に話を切られて戸惑う勇者だったが、魔王は待ってくれなっかた。


「いや、お前が手を貸してくれれば、人類が幸せになれる近道になるだから・・・・。」


「もう私は魔王の自分に疲れたんだ、まあ万が一神の御導きとやらで転生でもしたら話を聞かせてくれ。」


そう言って魔王は政権セレクターをどかして自分の首に手とうを当てて思いっきり頭を跳ね飛ばした。


「なっ・・・・・・!?。」


状況に理解できない勇者。


頭の中が整理できないなか、魔王の首をもって布に包み、玉座を後にした。


玉座から出ると、魔術師のテイル、狙撃手のエルモ、戦士のガットが声を掛けてきたが耳に入ってこず、適当に相槌を打ちながら返事をした。


ずっと気がかりだった。


魔王の自分に疲れたんだ。


その言葉だけを自分で何回も何十回も自分に問いかけながら帰路を過ごした。


玉座で王様に魔王の首を差し出し、ちょっとした話を終えそれから自分が殺されるまで10日とかからなかった。


殺された理由はこうだ、小っちゃい女の子に誘われて裏路地に行ったら怪しい人たちがいてそこを”偶然”取り掛かった騎士に見られてまとめて捕まった。


気づいた頃には首をギロチンにかけられていた。


ギャーギャー喚くギャラリーを余所に自分が考えていることは一つだった、魔王の自分に疲れたんだ。このひとことである。


そしてギロチンが降ろされたのと同時にあることに気づいた。


あいつも一度世界ごと変えようとしたのではないのか?。


もう考えても遅いんだけどね。


次に転生でもしたらありふれた異世界転生もののようなシナリオじゃなく、めちゃんこ可愛い女の子に囲まれたハーレムを築き上げた夢の世界を実現させるんだ。


心の中で握りこぶしを作った勇者の意識はそこで途切れた。


「・・・・・よちよち、おっぱいでちゅね~。」


まあそんなことだろうと思ってたよ。


そしてこの赤ちゃん、性別は女の子、名前はパール・ストックボイス、前世は元男勇者、母親の乳を吸う。

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