6話 壁の外には
(ここはどうやら塀に囲まれてるらしいですね。それも今いるのは中央あたりですね。とりあえず門を目指しませんか?なにか天界へと繋がるてがかりがあるかもしれません。)
「分かった。それにしてもここは広いなさすが地獄だ。まっすぐ飛んで行こうと思うがMPは大丈夫か?」
(はい。問題ありません。召喚の契約がなされているので私のMPは全てハルキー様からお借りしたものです。つまり、魔力の回路がつながっていますのでハルキー様のMPが切れるまでは使いたい放題というわけです。)
「あ、あまり無駄遣いはよしてくれよ..」
それから約数時間ちらほら地べたで人間を追いかけ回している鬼をみかけながらもやすみやすみ門を目指していく。休憩の時は2人で穴を掘って休むという古典的な方法だ。
(あ、前方に赤鬼が1、2、3、、、前進すればするほど見える数が多くなっていきます。これは...門に近づけば近づくほど鬼が多くなっていきますね。)
「一体助けた人間がどこにいくのかと思っていたら鬼と一緒に門のそばまで来てたんだな。どうりで見かけないわけだ。」
その数は視界に入る量を埋め尽くすまで増えて行きやがて着地できないほどのぎゅうぎゅう詰めの地点まで達した。もちろん鬼は圧迫されながらも人間を殺しては生き返らせを繰り返している。
(これは...あの門に何かあると見て間違い無いですね。死者の人間たちが目指しているところを見るに唯一の脱出口といったところでしょうか。)
「ああ。でも俺たちは幸い空を飛べるからな。あの先になにがあるか見てみよう。」
やがて天までそびえ立つようなずっしりとした巨大な扉が見えてくる。その形は牛鬼の頭を象ったような巨大な顔が扉部分に装飾されており入るものを食い殺さんとしているような風貌であった。
(よくみたら僅かにあいていますね...およそ人が1人通れるくらいの...あっ!いま下の方で人間が通り抜けていきましたよ!)
「あれほど鬼がいるのに門番がいない...?どうにも不自然な気がするな。だが、道はここしか無い。突き進もう。」
そう2人は上空から重々しい雰囲気の門を抜け、外へと出て行く。
「ああ、そういうことだったのか...」
ハルキーは目に移る光景に絶句した。
そこには...地獄が広がっていた。先ほどの鬼との鬼ごっこと同等のいや、場合によってはそれより非道な地獄が広がっていた。
「抜け道があるように思わせておいて、待っているのはより非道なバツということか。まさに悪魔の所業だな。まぁ地獄に来るのは生前、罪を犯したものしかいないから同情はしないけど流石にみてられるもんじゃないな...。」
(聞いた知識によるとあれらは、にえたったうんこや尿を無理やり飲まされる「屎泥処」。がんばって食べたら、その中には特殊なギョウ虫がいてはらわたから食われるというオプション付き
刃になった葉が生い茂った山を駆け上らないといけない「刀輪処」
皮をはぎとられたあとに熱してとけた鉄のかまで煮られる「おう熟処」
鬼から多種多様ないじめをうける「多苦処」....などなどがこの等活地獄にはあるそうです。
どう...されますか大天使様。愚かな悪人どもをお救いになられますか。それとも引き続き天界へのてがかりをお探しになられますか。)
淡々とそう事実を告げ、質問を投げかけてくる。
「俺たちは強くならなくちゃいけない。だから、鬼を倒すのは必然だ。あくまでこれは悪人の魂を救うためではない。義務として鬼を即刻殺していくぞ。」
天使となったからであろうか、ハルキーは直接的にあの人たちを救いたいとは言い出せなかった。悪人の罰をなくしてしまうというのは、その人たちの償いの邪魔をしてしまう行為なのではないかと思ったからだ。だが、やはりこの状況を彼の良心は見過ごせなかった。
(承知いたしました。御心のままに。)
(これらの十六小地獄は先ほどの塀を囲むように16個に区分けして存在していると思われます。今視界に見られる2つの区間は右手におう熟処左手に
多苦処であるとみられます。)
「わかった。まずはおう熟処の攻略を目指そう。」
おう熟処では動物たちを殺して食べたものが連れて来られる地獄。まるで刑務所の看守かのような服を着た、同じ人間...に磔にされた死者たちが次から次へと皮を削がれ、鉄のかめに入れられ、煮られている。その中身はお湯とは呼べないまさにマグマのような液体が入っている。
天使たちは岩陰に隠れながらその様子を見ている。
「近くで見るとよりグロいな...作戦を言う。まずはあの看守みたいなのを1人拉致する。そんで洗いざらいこの地獄のことを吐いてもらおう。次に看守たちを滅殺する計画だが、あそこに一際大きい多分かめの中の熱湯を供給しているであろうタンクがあるのが見えるか?それをホーリーアローを打ち込んでぶっ壊す。転移と威圧で出来るだけ看守どもを引きつけるから合図をしたらタンクにしこたまホーリーアローをうちこんでくれ。タンクが崩壊次第ラグエルを連れて離脱する。」
(そこまで念入りに作戦を立てるとは...大天使様は人間がお好きなのですね。)
「ちっちがうって!人助けとかじゃないから!俺らのレベルアップのためだから!」
(はいはい。それでは、作戦開始いたしましょう。)
2人の天使は行動を開始した。